令和7年第1回大田区議会定例会 区長開会あいさつ
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更新日:2025年2月17日
令和7年2月14日
本日、令和7年第1回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。本定例会の開会にあたり、本年における私の、大田区の自治体経営に関する施政方針を申し上げます。新年の元旦には晴れ渡る青空が広がり、多くの場所で美しい初日の出を拝むことができました。立春を迎え、梅の花がほころび始め、寒さが続く中でも春の訪れを感じさせる足音が静かに響き始めております。今年は日本の人口のおよそ5人に1人が75歳以上となり、高齢化が一段と進むことで様々な問題が顕在化する、いわゆる「2025年問題」と言われる年でございます。その中で最大の課題は労働力人口の減少です。超高齢社会の進行によって、今後はこれまで以上にあらゆる産業が人材不足に陥り、従業員の確保が困難になることが想定されます。これは大田区含む地方自治体にも当然、当てはまることであり、この状況を打開していくためには、DXの推進による業務効率化、より柔軟な働き方の実現、多様な人材の確保等、幅広い視点で様々な取組を進める必要がございます。また、今年は国ごとに温室効果ガス排出量の削減目標を世界で初めて定めた京都議定書が発効されてから20年目を迎えますが、ここから国際社会が協力して温暖化に取り組む大きな一歩となりました。その後、新たな国際的な枠組みとなるパリ協定では、今世紀後半にカーボンニュートラルを実現することが盛り込まれました。一方で、アメリカではトランプ大統領が就任したことに伴い、パリ協定から再離脱する大統領令に署名するなど、大きな方針転換が起きています。先行きが不透明な部分もございますが、区としてはカーボンニュートラル達成のため、あらゆる施策を総動員し、区のみならず、企業や区民の皆様とも一丸となって、オールおおたで取り組んでまいります。世界情勢の変化など背景に、大きな課題が山積する時代ですが、一つひとつに真摯に向き合い、これからも豊かで安心して暮らすことのできる、持続可能な大田区の実現に向け、区は着実に体制を整え、区民福祉の維持・更なる向上に努めてまいります。私自身、区長として、その先頭に立ち、全力を尽くして邁進していく所存でございます。
まず、新たな大田区基本計画・実施計画についてでございます。昨年12月12日に、第3回目となる基本計画懇談会を開催いたしました。専門部会を含めると11回目の会議となり、これまでの議論の集大成として、計画の素案をお諮りさせていただきました。会議では、委員の皆様から、この不確実性が高い時代においても柔軟に施策を推進していくため、計画策定後も区民の皆様の声を聴きながらしっかりと評価・見直しを行うことや、部局間に「横ぐし」を刺し、「全体最適」の視点で取り組むことなど、多くの貴重なご意見を頂戴いたしました。その後、年末からパブリックコメントを開始し、年明けには住民説明会を開催いたしました。 現在、パブリックコメントでいただいたご意見も参考にさせていただきながら、素案から案の段階へと、最終的なとりまとめを行っているところでございます。この新たな基本計画では、第1期の計画期間である8年後の大田区の姿をお示ししております。そこで描いた、「心豊かな生活」を送ることができ、「機能的な都市づくり」が計画的に進み、あらゆる分野において「デジタルを活用した利便性」が高いまち、このようなまちを実現することで、皆様から、いつまでも住み続けたいと思っていただける、魅力的な大田区をつくってまいります。
そして、令和7年度は、この基本計画・実施計画の初年度「新たなスタートライン」の年として、最高のスタートダッシュが切れるよう、スピード感をもって取り組む予算を編成させていただきました。令和7年度予算(案)は、「心やすらぎ 豊かさと成長を実感できる新しい次代に向け 力強く踏み出す予算」と位置づけ、成熟した大都市として持続的な成長を支える強靱な財政基盤を堅持し、将来世代に負担を先送りしない、いまを担う現世代の責任を果たす、持続可能な自治体経営の実践に全庁を挙げて取り組むことで、基本構想における将来像「心やすらぎ 未来へはばたく笑顔のまち 大田区」の実現に向け、粉骨砕身の姿勢で取り組んでまいります。最近の国内の経済状況を見ると、先月公表された月例経済報告の基調判断では、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」とし、国内の景気判断は維持されました。先行きについては、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていること、また、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢等の影響に十分注意する必要がある旨が示されております。そのような状況の中、今後の区財政の見通しは、子育て支援策や超高齢社会への対応、公共施設の維持更新、重要な成長戦略となる社会資本の整備など多くの行政需要を抱え、先行き不透明な景気動向や国による不合理な税制改正等の影響も受け、歳出に対し歳入が不足する厳しい財政環境が継続することが想定されます。この認識のもと、令和7年度予算(案)は、区民に身近な基礎自治体として、地域特性を踏まえた価値の高い施策の構築に向け、特に優先的に取り組む4つの重点ポイントを掲げました。
重点ポイント1つ目は、「安心してこどもを産み育て、学びの充実による人づくりに資する施策」でございます。地域社会全体で子育ち・子育てを支え、こどもたちが笑顔で元気に育つ明るい未来に向け、一人ひとりの学びの充実や子育て世帯等へのシームレスな支援に取り組んでまいります。 なお、こどもたちの教育環境の整備につきまして、子育て世帯の経済的負担の軽減とともに、学校給食の質の確保と食育の推進を図り、安定的に学校給食を提供するため、国が実施するまでの当面の間、令和7年度以降も区立小中学校の給食費の無償化を実施いたします。 また、他区の事例を見ると、学用品等も無償化が進められていることは承知しており、経済的意義はあると認識しています。 一方で、単に経済的支援だけではなく、物を大事にする心や選択の幅を確保することなど含め、こどもたちが主体的に学び、成長につながることで、教育全体の質の向上を図ることが重要と考えており、引き続き施策の選択、見極めを行ってまいります。現在、区では、こども・子育て分野の個別計画である「大田区子ども・子育て支援計画」の改定作業を進めております。この計画が、こども基本法が目指す「こどもまんなか社会」と大田区基本構想で掲げる基本目標「未来を創り出すこどもたちが夢と希望をもって健やかに育つまち」を実現するための計画であることを明示するため、名称を「大田区こども未来計画」に改めることといたしました。計画の基本理念に「すべてのこどもが尊重され、保護者やまわりの人々の愛情に包まれて健やかに育ち、その育ちを地域全体で支えるまちにします」を掲げ、「こどもへの支援」、「子育て家庭への支援」「地域・社会づくり」の3つの区分により関係施策を体系化いたしました。また、国や東京都の方向性と軌を一にするとともに、区内に顕在化する課題の解決を図るため、今後5年間で強化する取組を具体的に示し、こどもの意見の尊重や子育ち支援の推進、共働き・共育て家庭への支援の強化や区にある資源を活かした地域づくりなどを重点的に進めてまいります。3月中に計画を策定し、新たな計画のもと、庁内外の関係者の協力を得ながら、区のこども・子育て施策を着実に推進してまいります。「(仮称)大田区子ども家庭総合支援センター」の整備については、昨年度、東京都の児童相談所運営に関する経験値と、区の子育て支援のノウハウを結合させ、更なるこども家庭相談支援体制の充実を図るため、都立児童相談所の設置に向け、東京都と協議を進めることとしました。東京都とはセンター開設に関する確認書を締結し、区はこども家庭センター機能を含む虐待予防等の取組の強化、都は地域支援の充実に向けた取組強化等を図り、虐待の未然防止から専門的支援までを切れ目なく実施する新たな児童相談支援に関する仕組みを構築することとしました。これまで確認した項目の具現化に向けた様々な協議を精力的に進める中で、新たな児童相談支援に関する仕組みの方向性が固まってまいりました。具体的には、都立児童相談所の管轄区域において初めての取組となる、児童虐待に関する東京都と区の通告窓口の一元化や、都区職員が合同で虐待通告を受付・迅速に処理する体制の構築等を進めることとしております。また、区においては虐待予防等の強化に向けた親子支援プログラムの実施等、区の心理職による取組の強化を、東京都においては地域支援強化に向けた専任職員の配置等の検討を進めております。こうした仕組みを整えることで、区立児童相談所整備により目指そうとした取組内容を包含するとともに、新たな基本計画にて推進するこどもの命と安全を守る児童相談支援体制の実現に寄与するものと考えております。引き続き、東京都と具体化に向けての準備を加速し、令和8年度中の開設を目指してまいります。
重点ポイント2つ目は、「心豊かな包摂社会の実現に向けた地域づくりに資する施策」でございます。スポーツや文化活動、価値創造の源泉である「人」への投資の加速化など、個性をお互いに認め合いながら、誰もが笑顔でいきいきと、心身ともに豊かな暮らしを実感できる施策を推進いたします。暮らしの中で多様な文化芸術に触れることは、心が潤い、豊かな人間性や感性が育まれることにつながります。大田区基本構想においても、文化や芸術を一つの柱として掲げており、本年は区における文化施策の方向性を示す、文化振興プランの改定を進めてまいります。この検討を進めていく中で、これからの自治体文化政策は文化芸術の振興にとどまらず、文化芸術を通して様々な社会課題を解決し、よりよいまちづくりを目指すことが重要というご意見もあり、今後の区の文化施策に活かしていくべきと強く感じております。昨日は、大田区民ホール・アプリコにて、全国で近年多くの皆様が興味を持っている古墳をテーマとした文化講演会「おおたの古墳の魅力」を開催し、満員御礼の会場で、区の有形・無形の多様な文化資源の魅力を区民の皆様とともに共有することができました。このような、区民の皆さまが区の貴重な文化芸術に触れ、心豊かになる機会を、今後も更に創出してまいります。福祉施策の取組では、全国的に少子高齢化が進行する中、冒頭でも触れたように、いわゆる「2025年問題」と言われてきた年となりましたが、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年頃には、高齢化率が更に高くなるものと想定しており、人口構造の変化に伴う、支援ニーズの増大、介護人材等の福祉サービスの担い手の確保など、様々な課題に直面していくことになります。現在策定している基本計画では、区が意識すべき、分野横断的かつ中長期的な視点から取り組む必要の高い課題を「共通課題」として挙げていますが、「少子化」に加え、特に「つながりの希薄化」と「担い手不足」は、福祉分野において喫緊の課題と捉えています。 区は、これまでも制度の狭間の問題や分野横断的な課題について、地域の皆様とともに支えあうことを目指す「包括的な支援体制の整備」や「福祉人材の確保・定着・育成に資する取組」などを推進してまいりましたが、今後、直面する課題に適時・適切に対応するためには、更に踏み込んだ取組を進めていくことが必要不可欠であります。こうした状況を踏まえ、令和7年度は、これまでの取組を引き続き進めていくことに加え、新たに、福祉事業者の皆様と区の共通のハラスメント対策及び介護助手の導入に向けたマニュアルの策定など、安心して働くことができる環境の整備や、多様な人材の活用、高齢者の社会参加等を進め、福祉人材の更なる確保・定着につなげてまいります。更に、高齢者や障がいのある方の、地域での暮らしを支えるための支援体制の充実を図るため、介護保険施設や地域密着型サービス施設、障がい者施設の整備を促進するほか、新たに、失語症者に向けた意思疎通支援についてモデル事業を開始し、居場所づくりや社会参加を促進し、障がいの特性に応じた意思疎通支援を充実してまいります。今後、地域福祉を取り巻く状況は大きく変わっていくことが予想されます。そのような時代にあっても、様々な取組を進めることで、お互いの個性を尊重し、支えあい、多様な個性が輝き、誰もが心豊かに暮らし続けることができる、「大田区らしい地域共生社会」を実現してまいります。また、昨年末、国において「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた新たな総合経済対策」が閣議決定を経て、令和6年度補正予算として成立いたしました。この経済対策の一環として、誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつけるため、物価高の影響を受ける低所得者世帯への給付事業を実施することになりました。区といたしましても、この国の方針を踏まえ、区民の皆様へスピード感を持って生活支援を強化すべく、昨年の12月20日付けで補正予算の専決処分をさせていただきました。具体的には、「片道プッシュ」という手続きを通じて、1月中旬には「支給のお知らせ」を約6万世帯向けに発送し、当初2月上旬を予定としておりました振込日も前倒しして、1月30日から順次振込の支給を開始することが出来ました。すでに、対象世帯のうち、8割を超える皆様に給付を終えたところでございます。引き続き、総合経済対策の効果を区内の隅々に行き渡らせ、区民生活・区内経済を守りながら豊かな地域社会を築いてまいります。
重点ポイントの3つ目は、「豊かな環境と産業の活力で持続可能な基盤づくりに資する施策」でございます。カーボンニュートラル・脱炭素への歩みを着実に進め、区民・事業者一人ひとりに環境への意識が浸透し、持続可能な経済・環境・社会の実現に資する施策を展開してまいります。区は、民間事業者と連携した「環境負荷軽減」に資する新たな取組として、使用済みペットボトルを新たなペットボトルへと再生する、「ボトルtoボトル」水平リサイクル事業を実証的に進めることにいたしました。石油などの化石由来の原料から作るペットボトルと比べて、使用済みペットボトルを原料とすることにより、約6割の二酸化炭素を削減できると言われております。具体的な取組といたしまして、昨年の12月25日に民間事業者4者と区で連携協定を締結し、本庁舎1階にペットボトルを圧縮して回収する機器を設置いたしました。この機器で回収されたペットボトルは全て新たなペットボトルへ再生利用されるとともに、圧縮されることで嵩張らずに搬送できるため、輸送による二酸化炭素の削減にも繋がります。更に、モニターを併設することによって、資源循環の「見える化・わかる化」を行ってまいります。こうした取組を着実に進めるとともに、来年度以降も更に行動実践につながる普及啓発施策の拡充・推進を図ることで、区民や事業者の皆様の一層の行動変容を促進してまいります。今後も「持続可能な環境先進都市おおた」として、時代のニーズにあった先駆的な取組にも挑戦し、着実に成果を積み上げてまいります。 産業施策においては、「大田区産業振興ビジョン」に描いた「稼ぐ力を創出し、豊かな地域経済が未来に引き継がれるまち」を実現すべく、デジタル化やキャッシュレス化の促進、イノベーションの創出、そして、インバウンド対策など、多角的に施策を展開することで「変革」、「集積」、「連携」を力強く推進してまいります。加えて、新たに地域産業の担い手となる「人」の重要性を鑑み、人材の育成と確保に関する施策を強化してまいります。具体的には、区内中小製造業・運輸業・建設業に新たに就職した方に対して、奨学金返還額の一部を支援いたします。区内企業の採用力向上を図るとともに、若年層の経済的負担を軽減することで、地域全体の経済成長につなげてまいります。 これら施策を推進するとともに、今後も不確実性の高い経済状況の変化を的確に捉えつつ、区、そして事業者の皆様が直面する様々な課題を解決するため、持続可能な支援体制及び産業基盤を構築すべく、新たに「産業のまち未来基金」を創設いたします。 引き続き、事業推進のパートナーとして、大田区産業振興協会、大田観光協会とも連携を密にし、持続的な地域経済の発展に向け全力で取り組んでまいります。
重点ポイントの4つ目は、「安全・安心で魅力と利便性あふれるまちづくりに資する施策」でございます。近年頻発する自然災害への備えの強化をはじめ、区民の命と生活を守る取組を強化いたします。また、利便性の高い交通ネットワークや住み続けたい住環境の整備など、100年先も人々を魅了する洗練されたまちづくりの実現に向けた施策を展開いたします。新空港線について、国の令和7年度予算案において第一期整備事業に関する予算が計上され、昨年末には閣議決定されました。1月17日には、羽田エアポートライン株式会社及び営業主体を予定している東急電鉄株式会社から都市鉄道等利便増進法に基づく「整備構想」及び「営業構想」がそれぞれ国土交通大臣に提出され、事業化に向けて新たに具体的な一歩を踏み出したところでございます。今後は、羽田エアポートライン株式会社が中心となり、年内の事業化に向けて手続きを着実に進めてまいります。区といたしましても、事業の推進に向けて羽田エアポートライン株式会社への支援を適切に継続していくとともに、蒲田駅周辺をはじめとする鉄道沿線の地域特性を活かしたまちづくりの青写真を示し、これを実行することにより、将来にわたり魅力溢れ、誰もが暮らしやすい活気あるまちを目指してまいります。羽田空港跡地第1ゾーンのまちづくりでは、約3.3ヘクタールに及ぶ新規の公園について、羽田空港跡地の歴史・立地特性を活かし、公園利用者・民間事業者・区の三者が積極的に関与できる公民連携の仕組みを検討してまいりました。そこで、大田区初となるPark-PFI手法と、民間事業者の知見・ノウハウを最大限に生かすことのできる設計・整備・維持管理・運営の全てを一体的に実施するDBO方式を採用することとし、その整備・運営事業者を昨年7月から公募してまいりました。先日2月5日に開催された事業者選定委員会を経て、株式会社かたばみ を代表企業とし、合計6者で構成される羽田みらいパークマネジメントを、事業予定者として決定いたしました。「HANEDA(ハネダ)“えん”PARK(パーク) いにしえと今、そして未来を“えん”でつなぐ」というコンセプトのもと、「地域住民・団体がつながり、利用者が主役となって成長を続けていくことができる公園」となるような魅力ある提案を受けました。羽田みらいパークマネジメントの持つ知見・ノウハウを生かすことで、憩いやにぎわいを創出し多くの方がこの地を訪れ、区の更なる魅力向上につながり、日本の玄関口羽田にふさわしい公園が完成することを大いに期待しております。今後は、令和10年度の公園供用開始を目指し、令和7年度より設計・整備へと着実に取り組んでまいります。
以上、重点ポイントに沿った施策を優先的に進めるとともに、これらを下支えする自治体経営の取組についても、これまで以上に加速化させてまいります。SDGsの推進については、SDGsの達成に向けて取り組む事業者を、区が認定し「見える化」する制度である「SDGsおおたスカイパートナー認定制度」の認定式を、昨年12月23日に実施いたしました。当日は98の認定事業者のうち、70事業者の計118名の方々にご参加いただき、認定証の授与と特別講演を実施いたしました。1月1日からの認定に合わせて、区ホームページにて事業者名や取組内容等を公開しております。特別講演では、「企業・団体等におけるSDGsの更なる推進・実践について」と題して、千葉商科大学客員教授の笹谷 秀光氏から講演いただきました。講演の中で、区が事業者と一体となってSDGsに取り組む姿勢が評価されるとともに、スカイパートナー制度に対して、地域全体で持続可能な社会を目指すモデルケースとして、大きな期待が示されました。今後、「SDGsおおたスカイパートナー認定制度」を継続するとともに、インセンティブをより充実させた新たな認定制度を創設することで、事業者の更なる取組の推進を図ってまいります。併せて、区民の皆様に向けた取組として、幅広い世代がSDGsについて学ぶことができるワークショップ形式の企画や現地体験型の事業などを実施し、SDGsへの理解・行動変容を促進していくことで、オールおおたでSDGs達成に向けた取組を加速してまいります。DXの推進においては、今年度は、「大田区情報化推進計画」の最終年度であり、各部局が目標達成に向けて着実に施策を進めているところでございます。特に行政手続きについては、令和12年度までにすべての手続きのオンライン化に向け、「大田区行政手続のオンライン化方針」を定めるとともに、電子申請と同時に決済まで完了するオンライン決済を導入するなど、取組を強化しております。また、1月6日からは、更なる窓口サービスの向上のために、区民の皆様の視点に立った「使いやすさ」、「分かりやすさ」を重視したインターネット上での窓口・手続き案内、「手続きガイド」のサービスを開始しております。そして、2月12日には、DX推進の一助となるよう、各部局の事例を共有するDX推進成果報告会を開催いたしました。多くの事例の発表があり、改めて機運が醸成されてきたと感じております。この機運をもとに、次の段階へと進むため、来年度からの4か年を計画期間とする「大田区DX推進計画」を現在新たに策定しております。本計画の目的を「一人ひとりの幸せをかなえる~人にやさしく変革を続ける大田区~」とし、デジタル化を通じた大田区の更なる発展のために、スピード感を持って取組を加速させてまいります。なお、取組の推進にあたっては、自治体間の情報共有も重要となりますが、1月10日、11日に、羽田イノベーションシティ内コングレスクエア羽田及びピオパークにて、行政デジタル改革共創会議、いわゆるデッカイギが開催されました。このデッカイギは、行政デジタル改革に関する情報共有や意見交換を行う場であり、大田区としても後援させていただき、私も各種セッションに参加するとともに、ホストタウンの代表として、挨拶をさせていただきました。会議には、平 将明デジタル大臣はじめ歴代デジタル担当大臣の4名が一堂に会し、今後のデジタル社会の展望など、示唆に富む話がございました。こうした自治体間のつながりも一つの契機と捉え、引き続き更なる区民サービスの向上、豊かな地域社会の実現に向け、着実に取組を進めてまいります。また、区の将来像を実現するための方針の一つにシティプロモーションの強化を掲げていることを踏まえ、新たにシティプロモーション戦略の策定を進めております。シティプロモーションの効果を区内全体に浸透させるためには、区を取り巻く環境を踏まえ、アピールできる区の価値を考え、資源を生かしてつくる「ブランディング」と、価値を発信・浸透させ、賛同者を増やしていく「プロモーション」が必要となります。本戦略ではターゲットを絞り、子育て世帯を中心とした区民の皆様の愛着度向上と、必要とされる行政サービスを効果的に提供する環境や体制の構築・維持を掲げ、シティプロモーションの取組により将来にわたる定住促進の好循環を作り、子育て世帯数の維持・増加を目指してまいります。区のシティプロモーション全体としては、これまで取り組んできた考え方を引き継ぎ、区民の皆様や区を訪問する区外在住者、羽田空港を利用する海外の方を対象として地域経済の活性化を目的とした全庁的な取組を進めてまいります。これら重層的なシティプロモーションにより、「持続可能な大田区」の実現を目指してまいります。
令和7年度一般会計の予算規模は、3,527億9百万円余で、前年度比約115億円、3.4%増となる予算といたしました。歳入については、特別区税は、特別区民税等の増収を見込んだ結果、前年度比で3.8%増の850億円、特別区交付金は、企業収益が堅調に推移していることなどにより、前年度比3.1%増の858億円となっております。一方、歳出では、基本構想に掲げた将来像を実現するための施策等をまとめた基本計画のもと、施策を推進するための具体的な事業をまとめたものを実施計画として位置づけ、そのうち主要事業として466億円余の予算を計上しております。以上、私の施政方針を申し述べさせていただきましたが、ぜひ区民の皆様、区議会の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。本定例会に提出いたしました案件は、予算関係では先ほどご説明をいたしました令和7年度予算(案)のほか、令和6年度一般会計補正予算(第5次)などの予算議案が計8件、条例議案56件、その他議案11件、報告議案12件でございます。 報告議案のうち1件は、国の令和6年度補正予算(第1号)に伴う住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金 給付事業に係る経費について専決処分をし、そのご承認をお願いするものでございます。議案につきましては、いずれも後ほど上程いただいた際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願いを申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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