令和5年第4回大田区議会定例会 区長開会あいさつ
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更新日:2023年11月30日
本日、令和5年第4回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
今年の11月初めは、東京都心で100年ぶりに最高気温を更新、また統計開始以来、初の連続夏日を記録するなど、異例の暑さが残る中でのスタートでしたが、その後は一転して冬の訪れを感じるようになってまいりました。
今月2日、臨時閣議において国の新たな経済対策が決定され、20日に財源の裏付けとなる補正予算案も閣議決定され、国会に提出されました。本経済対策における補正予算案は13.1兆円、これに定額減税による「還元策」及びその関連経費を合わせた経済対策全体の規模は17兆円台前半程度となる見込みです。デフレ完全脱却のための総合経済対策「日本経済の新たなステージにむけて」と題した本対策において、まず経済の現状認識として、「コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあり、高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」から、30年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスを迎えている。足元では、設備投資に続き、物価や賃金が上昇し、賃金と物価が好循環する「新たなステージ」への光が差しつつある。このチャンスを活かし、物価上昇を乗り越える構造的な賃上げと脱炭素やデジタルなど攻めの投資の拡大によって消費と投資の力強い循環につなげていく」といった認識がなされております。本対策の基本的な考え方としては、「変革を力強く進める「供給力の強化」と、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」の2つを「車の両輪」として、日本経済が熱量溢れる新たなステージへ移行するためのスタートダッシュを図り、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を更に加速するため、予算、税制、制度・規制改革など、あらゆる政策手段を総動員する」としています。具体的施策として、物価高により厳しい状況にある生活者・事業者への支援では、令和6年分所得税及び令和6年度分個人住民税の減税や、「重点支援地方交付金」の低所得世帯支援枠を追加的に拡大した給付や、地域の実情に応じて、困難な状況にある者をしっかり支えるとの観点から、同交付金の追加が盛り込まれております。 区としてもこの動きに合わせ、区民生活・区内経済をしっかりと守り、持続的な地域社会の発展のため、時期を逸することなく速やかに対応してまいります。
次に、今月8日、小池東京都知事と意見交換を行いました。羽田イノベーションシティがグランドオープンを迎え、次世代医療・研究の拠点として先端医療研究センターの開院や空港での実証・実装を視野に入れた研究開発拠点の開設予定など、今後ますますこのまちのポテンシャルが高まり、大田区のみならず、東京・日本の発展に貢献していくことをお話いたしました。さらに、ベイエリアの50年・100年先までを見据えたまちづくりを構想する「東京ベイeSGプロジェクト」についても、互いに連携しながら取り組むことで、空港臨海部、新空港線整備及び沿線まちづくりが計画的に推進でき、区内全域、そして東京全体の発展に寄与することを期待している旨お伝えいたしました。また、マンション防災対策と在宅避難推奨に向けた取組についても、令和5年に修正された東京都地域防災計画等に合わせた対策の充実についてお伝えさせていただきました。小池都知事からは、羽田イノベーションシティについて、東京のプレゼンスを高めるためには、国内外にものづくり技術、魅力を発信していくことが重要であり、国際産業拠点としての役割が期待されることや、マンション防災の重要性は強く認識しており、自助、共助がスムーズに進む取組、そして公助もより力を入れ、連携して進めたいといったお話もいただきました。今後も都と区は連携を着実に図りながら、区政の更なる発展及び東京全体の発展へとつながるよう、私自身、先頭に立ち尽力してまいります。
次に、現在策定を進めている新たな大田区基本構想についてでございます。7月に開催した第1回基本構想審議会に始まり、先週24日に開催した第4回審議会まで、専門部会の6回を含めますと、ここまで計10回に渡り議論を重ねてまいりました。審議会では、2040年頃の大田区のあるべき姿を示す「将来像」や、将来像を実現するためのまちの姿について審議会委員の皆様から様々なご意見をいただいております。その中でも、特に区民の皆様から多くのご要望をいただいた、「こども」や「安全・安心」を軸としたまちの姿を柱に据えながら、検討を進めているところでございます。残すところ12月19日の第5回審議会のみとなり、いよいよ構想策定に向けたラストスパートをかける段階となっております。いただいた数多くの貴重なご意見を踏まえながら、笑顔があふれ、心から安心して暮らすことができ、誰もが未来に希望を持てるようなまちの実現に向け、確かな羅針盤となる基本構想を作り上げてまいります。
次に、SDGsの推進についてでございます。今年5月のSDGs未来都市選定を契機に、区民・企業・職員等、多様な主体のSDGsに関する行動変容を一層促し、具体的な取組につなげていくことが重要と考え、更なる普及啓発を図るため、大田区オリジナルのSDGsロゴマークを作成することといたしました。そして、10月18日から11月8日の期間でロゴマーク案を募集した結果、皆様から多数の応募をいただきました。審査委員会の審査を経て選んだ採用候補作品について、現在投票を実施しております。投票期間は12月5日までとなっておりますので、皆様ぜひ区ホームページ等から投票いただけますと幸いです。
次に、今月4日・5日の両日、今回で34回目となる「OTAふれあいフェスタ2023」を開催いたしました。両日ともに真夏を思わせるような晴天の中で行われ、2日間で約18万8千人の方々にご来場いただきました。今年はボートレース平和島の改修工事のため、ふるさとの浜辺エリアをメイン会場として、フェスタ名物の「みこしパレード」や、区出身で大田区観光PR特使の「シクラメン」によるライブステージを実施しました。そのほか、太陽のエリアでは「ふわふわトランポリン」、緑のエリアでは「大道芸」を実施するなど、様々な催しによって、各エリアで多くの区民の皆様が楽しく過ごされている姿が見られました。特にお子さま連れのファミリー層の来場が多く、子どもたちのたくさんの笑顔を見ることができ、大変うれしく思います。「地域のふれあい」と「交流の輪」を基本テーマとしたフェスタを通じて、区内外に大田区の魅力を発信することができ、参加された皆様に一時でも楽しい時間をお過ごしいただけたものと思います。
次に、龍子記念館・旧宅・アトリエについて、この度、今月24日に文化庁から登録有形文化財登録の内定をいただくことができました。今後、国の手続きを経てから官報の告示をもって正式に登録有形文化財として登録される予定となっております。今回、登録の対象となった龍子記念館及び旧龍子邸は、いずれも日本画の巨匠川端龍子が自ら設計に関与し、独創的な意匠が数多く施され、地域のランドマーク的な存在であることが評価された点の一つであります。また、今回の登録により、勝海舟記念館に続く登録有形文化財の展示施設となり、区の伝統文化発信の拠点がまたひとつ加わることになります。現在も区内外から多くの方が訪れている記念館ですが、今後は展示内容だけでなく、建物の魅力についてもより楽しんでいただけることを大変喜ばしく思っており、今まで以上に多くの来館者にお越しいただけるよう期待しております。現在、12月3日まで公開されている高橋龍太郎コレクション連携企画「川端龍子プラスワン」は、前期が現代アートの濱田樹里さんとの企画展です。後期は12月9日から新春1月28日まで谷保玲奈さんのプラスワン展が開催されます。龍子のダイナミックな作品との対話をぜひお楽しみいただきつつ、野心的な展示と美術館のもつ可能性に触れていただければと思います。引き続き、区の文化芸術の魅力発信の拠点とするべく、地域の大切な資産である区の文化財を適切に守り、活用するとともに、多くの区民の方々が区の歴史・文化に愛着を持ち、いつまでも住み続けたい大田区を創ってまいります。
次に、包摂的な地域づくりについてでございます。今年の秋は、区内の多くの障がい者施設で、地域の方々のご協力のもと、施設まつりが再開され、私自身も多くの施設まつりに参加させていただきました。地域の方と利用者やご家族の方々が笑顔で交流していた姿がとても印象的で、人と人が直接会ってつながることの大切さをあらためて実感いたしました。こうした交流の機会を積み重ねていくことは、人のあたたかさを感じることができる共生のまちづくり・支えあいの地域づくりにつながります。これまで区は、「大田区地域福祉計画」で、「ともに支えあい 地域力ではぐくむ 安心して暮らせるまち」を基本理念に据え、大田区版「地域共生社会」をめざした取組を進めてまいりました。現在、次期「大田区地域福祉計画」を策定しておりますが、これまでの「大田区地域福祉計画」の基本理念をしっかりと引き継ぐとともに、大田区基本構想審議会においてご議論いただいている、新たな「大田区基本構想」の基本理念とも整合性を図ってまいります。また、「地域福祉計画」に包含する形で策定する「大田区 成年後見制度等利用促進基本計画」、現在、同時に策定している「おおた高齢者施策推進プラン」、「おおた障がい施策推進プラン」も含め、一体感のある計画としてまいります。引き続き、区は、大田区社会福祉協議会、各社会福祉法人をはじめとした区内福祉事業者や地域活動団体、区民の皆様方と手を携え、住み慣れた地域で尊厳のある本人らしい生活を継続できるよう、包摂的な地域社会を構築してまいります。
次に、「おおたクールアクションのつどい」についてでございます。10月23日に羽田イノベーションシティのピオパークにて、HICityグランドオープンに先駆けて「区民運動おおたクールアクション」賛同団体の取り組み共有の場である「おおたクールアクションのつどい」を開催いたしました。当日は、事業構想大学院大学 特任教授の見山謙一郎氏に基調講演を行っていただくとともに、賛同団体による活動報告会を実施しました。私も会場で、区内企業の地球温暖化対策に関する取組を聴かせていただきましたが、電気の使用状況がわかるモニター機器の設置や、省エネ推進委員会の立ち上げなど、社員が率先して取り組まれている様子を伺うことができる大変良い機会となりました。また、会場には日本工学院専門学校の学生も傍聴に訪れており、区内企業の率先的な取組について学ぶ姿も印象的でした。このような機会を通じて、事業者や区民一人ひとりに地球温暖化対策を「自分ごと」として意識していただき、区民運動という大きなウェーブとなっていくことが脱炭素社会の実現に繋がっていくと考えます。区は今後も区民や事業者とのパートナーシップを推進して、環境課題の解決に取り組んでまいります。
次に、環境分野における特別区の動きについてご報告します。さる10月16日、東京23区・特別区長会は「2050年『ゼロカーボンシティ特別区』の実現に向けた特別区長会共同宣言」を行いました。これは、各区が地域特性に応じた地球温暖化対策を実施することに加え、特別区が連携し、相乗効果を最大限引き出すために行われたものです。そして、この共同宣言に基づく取組の一環として、中小企業の脱炭素化への支援を効果的に進めること等を目的に、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行と連携協定を締結いたしました。一方、本区では、これに先行する昨年2月に、「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を目指す「ゼロカーボンシティ」を表明しており、この間、様々な取組を進めてまいりました。今後は、本区だけではなく、特別区全体でも連携先を通じて、多様な主体と連携し、持続可能な特別区の構築に向け、23区一体となり脱炭素社会の実現に取り組んでいくこととなります。こうした特別区全体の動向もしっかりと捉えながら、SDGs未来都市として、その存在意義を発揮していけるよう環境政策を庁内の横串として位置付けていきながら、前例にとらわれることなく、様々な取組を加速させてまいります。
本定例会に提出いたしました案件は、令和5年度 一般会計補正予算(第4次)のほか、条例議案14件、その他議案17件、報告議案12件でございます。本補正予算案では、国の経済対策の一環である重点支援地方交付金の拡大措置を活用し、福祉サービス事業所等が安心してサービスを提供できる環境を維持するための支援や、コロナ禍から回復の兆しが見える地域経済を支え、2024年問題等へいち早く対応するため、中小運送事業者への支援といった社会経済状況を踏まえた物価高騰対策に資する予算、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金を給付する国の総合経済対策に速やかに対応するための予算を計上いたしました。補正予算案の規模は60億549万6千円となり、既定の予算と合わせた補正後の予算額は3,259億7,488万円余となっております。提出議案につきましては、いずれも後ほど上程の際、順次ご説明させていただきますので、よろしくご審議を賜りますようお願いを申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。