「学芸員イチオシの一品!」第2弾のご案内
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更新日:2020年5月13日
「学芸員イチオシの一品!」第2弾
好評につき、第2弾を公開します!
大田区立郷土博物館には、開館以来収集してきた多くの資料が保管・展示されています。
ここでは、考古・歴史・民俗という各分野の学芸員がオススメする資料を取り上げて、資料が持つ魅力や見どころについて紹介します。
[注意]資料の画像の二次利用や無断転載は固く禁じます。資料や画像のことにつきましては、大田区立郷土博物館までお問い合わせください。
【考古】久 ヶ 原 遺 跡 採集 甕 形 土 器
多段の甕形土器(高さ26.64cm)
土器の採集地や採集日を記した墨書き
久ヶ原遺跡発見の契機となった土器の一つ。中根君郎氏により昭和初期に学会発表された後、大切に保管され、寄贈を受けた貴重な資料です。南関東地方の弥生時代後期前葉の基準となる「久ヶ原式土器」です。
久ヶ原式土器の甕の特徴の一つ、粘土ひもの段は10段ですが、内面の段は丁寧に消されてミガキが施され、水がもれない工夫がみられます。ススやコゲの付き方から、横から炎をあててコメを蒸らした痕跡があり、煮炊用の鍋と考えられます。
当時の人々もデザインと機能性にこだわった土器作りをしていたようです。
[考古担当:斎藤あや]
【歴史】安西啓明「大森駅前八景坂」(昭和3年(1928)年頃)
安西啓明「大森駅前八景坂」(昭和3年頃)
「大森駅西口」(『入新井町誌』より)
現在、大森駅西口にある天祖神社脇の階段は途中で右側に曲がっていますが、作中の階段はまっすぐ下に降りています。昭和2年に発行された『入新井町誌』掲載の大森駅西口の写真でもまっすぐな階段を確認できます。
かつて大森駅前を通る池上道は、古道のために道幅が狭く、乗合自動車の往来も不便でした。そこで、昭和7年の拡幅工事により道幅が変更され、それに伴い階段も途中で右に曲がる形に変更されたのです。作品に描かれた美容院や写真館の看板からは、大森駅前がにぎやかな場所であったことがわかります。
[歴史担当:真坂オリエ]
【民俗】ふぐ提灯
ふぐ提灯
穴守稲荷神社境内の様子(大正末~昭和初期頃)
羽田産のふぐ提灯です。ふぐ提灯は、現在も海辺の観光地の土産物として知られていますが、戦前までは羽田でも生産されていました。主に工芸品として販売していたものですが、中にローソク立てをつけたものや子ども用の玩具など、様々なふぐの土産物が作られ、羽田から江の島や鎌倉に卸すこともあったといいます。
羽田にある穴守稲荷神社のかつての門前は、ふぐ提灯の他、貝細工や麦藁細工といった当地名産の土産物を扱う店や、料理屋、茶店が軒を連ね、遊山も兼ねた参詣客で大変賑わっていました。
[民俗担当:小室綾]
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