地下水(揚水施設)を利用される方へ

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更新日:2023年4月1日

揚水規制の概要

 東京都内(区部)では、昭和30年から40年代にかけて、産業活動(工業用水等)を中心に地下水の過剰な汲み上げ(揚水)による地盤沈下が発生し、都民生活に大きな被害を受けるとともに、その対策(復旧)のために経済的な損失を被りました。
 東京都では、地盤沈下の再発を防止するために地下水の過剰な汲み上げを規制し、地下水保全を図るために、「工業用水法(昭和31年6月)・ビル用水法(昭和37年8月)」等の法律、及び「東京都公害防止条例(昭和45年4月)」に基づく揚水規制をおこなってきました。
 平成の時代に入って、揚水施設(揚水機)の性能向上等により小口径井戸による揚水量増加が懸念されたことで、それらに対応すべく「東京都公害防止条例」を廃止して「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(平成12年東京都条例第215号。以下「条例」という。)を平成13年4月に施行し、揚水機出力300ワット以上の揚水施設の地下水の汲み上げ規制(揚水規制)を実施しました。さらに、平成28年7月に条例規則の一部を改正し、揚水機出力300ワット以下のものも規制の対象となりました。
 併せて、東京都では地下水の揚水量の実態を把握し、地盤沈下対策及び地下水保全施策の基礎資料とするため、昭和46年から一定規模以上の揚水施設の設置者に揚水量の測定及び報告(毎年1回)を義務付けております。

大田区の揚水規制

 大田区では、揚水施設(井戸)設置(変更)等に係る各種届出等の事務手続きの見直しを行い、「大田区揚水施設設置等に係る事務取扱要綱」(平成31年1月16日環対第10613号。以下「要綱」という。)を制定しました。
 区内の揚水施設設置(変更)予定者は、要綱の規定に基づく届出等の手続き(一部例外あり。)が必要となります。また、既設の揚水施設設置者等は、要綱の規定に基づき「地下水の揚水量測定」を行い「揚水量の記録」を、区長に報告(毎年1回)することになります。
 揚水量の報告については「こちら」をご覧ください。
要綱の施行日
 平成31年4月1日施行。
要綱制定の趣旨
 大田区では「特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例」(平成11年条例第106号。)第2条(特別区が処理する事務の範囲等)の表24の項イからハまでの規定に基づき、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。以下「条例」という。)で規定された地下水の揚水規制の対象となる揚水施設(動力を用いて地下水を揚水するための施設)の設置等に係る各種届出等の事務処理等を行っております。条例では設置者ごとに異なる各種の届出等が規定(表1参照。)されており、複雑で統一的な事務処理等が行えず公平性に欠けていました。それらの問題点を整理し、公平性を保ち区民の皆様に解りやすい適切な届出等の手続きが可能となるように、要綱を制定しました。

法律に基づく許可の申請及び問合せ先
 東京都環境局自然環境部水環境課地下水管理担当
 (新宿区西新宿2-8-1 都庁第二本庁舎 電話03-5388-3547(直通))

揚水施設の設置等に必要な手続き

 事業所(工場、指定作業場)等の法人又は個人の住宅において、地下水利用のため動力を用いて地下水を汲み上げるための全ての施設(以下「揚水施設」という。)を設置又は既存揚水施設の変更等を行う場合には、以下に示す各種届出書等の提出をお願いします。ただし、一戸建ての住宅において、揚水機の出力が300ワット以下で家事の用((注釈1))に利用するものについては、設置等の届出書の提出は不要です。(条例施行規則第29条第2項)
(注釈1)家事の用:冷暖房、水洗便所、自家用自動車の洗車、庭への散水等一般住宅で生活の用に地下水を利用することをいう。

1揚水施設設置(変更)届出(要綱第3条、条例第89条又は第90条)

(1)事業所(法人)又は個人(要綱第3条)
 揚水施設を設置しようとする者、又は既に設置している揚水施設の揚水機の吐出口の断面積、ストレーナーの位置及び揚水機の出力を変更しようとするものは、要綱第3条第1項に定める「地下水揚水施設設置(変更)届出書」(第1号様式)に【別表第1】に掲げる必要書類を添えて、工事開始日の30日前までに提出して下さい。ただし、水量測定器のみの交換を行う場合、変更届の提出は不要です。

(注意)条例第76条第3項及び第134条第3項に掲げる揚水施設で法律の適用を受けるものは、該当する法律の規定による許可等を取得後に設置(変更)届出書を提出して下さい。
(2)指定作業場となる公衆浴場(条例第89条又は第90条)
 次に示す揚水施設を有する公衆浴場を、設置又は変更しようとする場合は条例の規定を適用します。(条例第2条第8号に規定する指定作業場(別表第2第29号))
(ア) 浴室の床面積の合計が150平方メートルを超える公衆浴場で揚水施設を有するもの。
(イ) 上記の公衆浴場で揚水施設を設置、又は変更をしようとするものは、条例施行規則第41条に定める「指定作業場設置・変更届」(第16号様式)に「地下水の揚水施設の構造等」(要綱第1号様式「別紙」)及び【別表第1】に掲げる必要書類を添えて、工事開始日の30日前までに提出して下さい。なお、(ウ)に示す法律に該当しない揚水施設は、要綱第3条第2項に定める構造基準等【別表第2】に適合するものとします。
(ウ) (ア)に示す公衆浴場の揚水施設で、揚水機の吐出口断面積が6平方センチメートルを超えるものは 「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」(昭和37年法律第100号。(略称「ビル用水法」という。))に基づく、東京都知事の許可(表2参照。)が必要となります。なお、許可取得に際しては、要綱第3条第2項に定める構造基準等【別表第2】は適用しません。
 許可を取得してから「指定作業場設置・変更届」(第16号様式)を提出して下さい。また、届出時に許可証等(規制基準等を確認します。)の写しを添付して下さい。

(3)構造基準等(要綱第3条)
 揚水施設設置(変更)の届出をするときは、要綱第3条第2項に定める構造基準等【別表第2】に適合しなければなりません。

【別表第2】(第3条関係)構造基準等(対象地域:大田区全域)
対象となる揚水施設  地下水の利用を目的として、動力を用いて地下水を揚水する全て
の揚水施設(一戸建ての住宅において家事の用のみに供する出力が300
ワット以下のものを除く。)
吐出口の断面積
(複数ある場合は、
吐出口の断面積の総計)
ストレーナーの
位置
揚水機出力 揚水量の上限
6平方センチメートル以下
(1本の場合、直径2.76センチ
メートル以下。規格品25A
「通称インチ管」は可とする。)
制限なし 2.2キロワット
以下
1日当たりの揚水量が、最大20
立方メートル以下かつ、月平均10
立方メートル以下(1月が30日の
場合、その月の総計は300立方
メートル以下となる。)
6平方センチメートルを超え
21平方センチメートル以下
400メートル
以深とすること
制限なし 制限なし
21平方センチメートル
を超えるもの
設置禁止
備考
大深度井戸の掘削に際しては、次の各号に掲げる事項に注意すること。
1 ストレーナー上部で遮水措置を行い、浅層部の地下水を引きこむことを防止すること。
2 温泉が湧出する可能性がある場合は、温泉法(昭和23年法律第125号)に基づく掘削許可等の手続きをおこなう。
3 可燃性天然ガスが噴出する可能性がある場合、安全対策を行う。
4 掘削後、使用しなくなった場合は、地下水汚染を招かないように適切な措置(埋戻し等)
をする。

(注意)条例第76条第3項第6号及び第134条第3項第6号に掲げる「非常災害用等公益上必要と知事が認める揚水施設」とは、非常用発電機を備え、非常時又は災害時に近隣住民へ無償で揚水した地下水を提供できる揚水施設をいう。以上の要件を満たすものは、第3条第2項に定める構造基準等【別表第2】は適用しません。

2揚水施設設置(変更)工事完成報告(要綱第4条)

 揚水施設設置(変更)の工事が完成したときは、要綱第4条に定める「地下水揚水施設完成報告書」(第2号様式)に【別表第3】に掲げる必要書類を添えて、工事完成後速やかに提出して下さい。

3氏名等変更届(要綱第5条)

 既に設置している揚水施設において、設置者等の氏名、住所等に変更があったときは、要綱第5条第1項に定める「地下水揚水施設氏名等変更届出書」(第3号様式)を、変更の事実が発生後速やかに提出して下さい。

4廃止届(要綱第5条)

 既に設置している揚水施設を廃止したときは、要綱第5条第2項に定める「地下水揚水施設廃止届出書」(第4号様式)を、廃止後速やかに提出して下さい。
揚水施設の廃止後、要綱第5条第3項の定めにより地下水汚染及び可燃性天然ガス(注1)の発生を招かないように措置(注2)して下さい。なお、井戸を埋め戻すことは、風習等の理由により忌み嫌われることもあることから、「再使用できない状態(井戸のふたを密閉等)」を保つよう措置して下さい。
  注1 大田区の区域は、可燃性天然ガスの噴出の恐れのある地域として指定されています。
(東京都告示第1223号、平成20年10月1日)
  注2 井戸の埋戻し、井戸ケーシング切断、溶接密閉等。

5承継届(要綱第6条)

 既に設置している揚水施設を譲り受け又は借り受けたもの、及び相続、合併又は分割等により、揚水施設を設置したものの地位を承継したものは、要綱第6条第2項に定める「地下水揚水施設
承継届出書」(第5号様式)を、承継の事実が発生後速やかに提出して下さい。
(例)
 ア 個人事業者等が親族へ相続を行ったとき。
 イ 譲り受け、借り受けなどの理由により、構造設備の変更なく第三者に引き継ぐとき。
 ウ 分譲マンションで、販売者から管理組合に名義変更する場合。
 エ 設置者である法人が吸収合併された場合又は法人を解散して個人になった場合等。

6立入検査等 (要綱第7条)

 要綱第7条の規定により、区担当職員が揚水施設の設置等に係る場所その他必要な場所に立ち入り揚水施設の設置等の状況等(構造基準等に適合しているか否か。)を確認するため、設置又は変更の工事中及び工事完成後等、必要と認められる場合に立入検査を行います。また、設置者等に対して、指示又は指導を行い、報告を求めることがあります。
(注)立入検査等に際しては、設置者等並びに管理者等又は施工者の方の立会いをお願いすることがあります。

7届出書等の提出部数(要綱第10条)

 この要綱の規定による届出又は報告は、届出書又は報告書(必要は関係書類等添付書類含む。)の正本にその写し1通を添えて提出して下さい。ただし、揚水量報告は除きます。

8届出対象外 (要綱第11条)

 要綱第11条第3項の規定により次に掲げる揚水施設については要綱の規定は適用しません。ただ
し、(4)(5)については、区長が必要と認める場合((注釈1))に揚水量の報告を受けることがあります。
(1) 平成28年6月30日以前に設置された、出力300ワット以下の既設揚水施設。
(2) 揚水機の原動機出力が300ワット以下で、一戸建て住宅において家事の用のみに供するもの。
(3) 動力を用いない手押しのポンプを使用するもの。
(4) 工事等に伴う一時的な揚水であると区長が認めるもの。
(5) 土壌汚染の対策及びモニタリングのための揚水施設。
  (注) 区長が必要と認める場合の例 
  ア 長期間にわたり揚水を行っている。
  イ 1日あたりの揚水量が、月平均で10立方メートル以上の揚水を行っている等。

9大田区揚水施設設置等に係る事務取扱要綱

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環境対策課

環境調査指導担当
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