令和6年度大田区立図書館読み聞かせボランティア講演会「色んなカタチで楽しむこどもの絵本-見て!聞いて!触って!-」を開催しました!

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更新日:2024年12月17日


令和6年11月10日(日曜日)、特別講師に春風亭昇吉師匠(落語家、(一社)落語ユニバーサルデザイン化推進協会代表理事)をお招きして、読み聞かせボランティア講演会「色んなカタチで楽しむこどもの絵本-見て!聞いて!触って!-」を開催しました。その様子をお届けします。

読書バリアフリーとは

様々な困難を抱えている方が、それぞれ自分にあったカタチで本に触れることができる社会をめざしたものが、読書バリアフリーです。
この読書バリアフリーの取り組みの一つに、「誰も」「同じ」絵本を「一緒」に楽しむことができるよう、工夫が施された『ユニバーサルデザイン絵本(以下「UD絵本」)』があります。
今回の講演会では、UD絵本の『てんじつき さわるえほん たのしいらくご(1) まんじゅうこわい』(落語ユニバーサルデザイン化推進協会/作 多屋光孫/絵 合同出版)の制作を発案された、春風亭昇吉師匠に制作にかけた思い、絵本に施された工夫について伺いました。

「UD絵本制作の原点」

春風亭昇吉師匠は、東京大学の学生の時に、盲学校で落語のボランティアをされました。
落語では、話し手が顔を左右に向き分けることによって人物の演じ分けがされます。盲学校のこどもたちは壁への音の反響の仕方によって、どちらを向いてしゃべっているのかも理解し、大ウケ。
「おもしろかった」、「声が聴きやすかった」といった感想が寄せられたこの経験は、春風亭昇吉師匠にとって涙が出るほど嬉しく、学生時代の忘れられない思い出となりました。
この経験が、誰でもが楽しめる落語の絵本づくりの原点となりました。

UD絵本『てんじつき さわるえほん たのしいらくご(1) まんじゅうこわい』の制作

点字絵本を作りたい思いを募らせていた頃、「落語をただ点字にしただけでは、本当にこどもたちが喜ぶかどうかわからない」といった気づきがありました。
多くのこどもに分かりやすく、そして楽しんでもらうため、関係者の方々と考えを巡らせ、絵本の登場人物を3D造形物で作るアイディアが誕生しました。
学生や当事者の方、日本点字図書館などたくさんの方と意見が交わされ緻密に作成された3D造形物は、ものの形だけでなく、「蟻の触覚がこんなに長いのか」、「江戸の長屋はこういう構造になっているのか」といった、より理解を助ける役割が果たされています。
絵本にはこの3D造形物の設計データをダウンロードできる二次元コードが掲載されており、3Dプリンターがあるところで自由に作成することができることも今までのUD絵本と異なる魅力の一つとなっています。

触ってみよう!何のカタチか分かるかな?

アイマスクをした状態で何の3D造形物を触っているか当てていただくクイズを実施しました。参加したお二人のお子さんは、悩みながらも見事正解を当てることができました。「触るということは、なかなか分からないものです。しかしながら、触ることで分かることもあるのです」(春風亭昇吉師匠)

聞いてみよう!「まんじゅうこわい」

大田区の図書館で長年読み聞かせをされているボランティアの方に、『てんじつき さわるえほん たのしいらくご(1) まんじゅうこわい』の読み聞かせをしていただきました。
会場にいる皆さんを物語の世界へ引き込む読み聞かせに、春風亭昇吉師匠からも「私の作った本が生き生きと息づき、胸が熱くなりました。」といった声がありました。
また、この絵本の絵を描かれた多屋光孫先生にもご来場いただいており、この絵本製作に携わったお気持ちなどについて、お話いただきました。

落語「饅頭怖い」

まくらでは、身の回りのものを例に挙げて「ユニバーサルデザインとは何か」を分かりやすく、ユーモアたっぷりにお話いただきました。
落語「饅頭怖い」の実演は臨場感に溢れ、落語をはじめて聞く人も聞いたことがある人もこの時間を楽しみました。

春風亭昇吉師匠からのメッセージ

落語の世界では色んな個性を持ったキャラクターが登場します。私には、それぞれの個性を認め合って生きるということが落語のテーマの一つになっていると思われ、それが今日の世の中に必要とされているのではないかと確信しております。
私の取り組みがきっかけとなって、少しでも生きやすい社会づくりの気づきが生まれることを願い、今後も活動して参りたいと思います。

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