公正な採用選考に向けて
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更新日:2022年5月9日
被差別部落(同和地区)住民の就職の機会均等を確保するためには、事業主の部落差別(同和問題)に対する理解と認識が不可欠です。昭和52(1977)年に、当時の労働省の通達により、原則として一定の規模以上の事業所に「企業内同和問題研修推進員」を選任するよう勧奨が行われました。その後、名称を変更して現在では、「公正採用選考人権啓発推進員」といいます。
この通達には、差別のない正しい採用選考を行うために公共職業安定所が選定した事業所に推進員の設置を求め、その役割として次のことが示されています。
差別のない公正な採用選考システムを含む人事管理体制の確立
企業内の人権研修計画の策定と実施
行政機関との連絡
事業主の方へ
東京ハローワークのホームページに、「公正な採用選考を進めるために」などの案内が掲載されています。
また、厚生労働省のホームページにも「公正な採用選考システムの確立」などが分かりやすく掲載されています。
企業が関係した差別事象
A社労務交渉での差別発言事象
A社でパート従業員の解雇問題について交渉中に、労務担当の管理職がパート従業員の取り扱いで「特殊部落になる」と発言し、その発言を追及されると「部落民がいなければよい」と答えた。
B社研修資料差別事象
B社新任営業所長の研修資料に、人事管理のポイントとして次のような事項があった。「当社の社員として不適切な者は、絶対採用しない。採用してからでは手遅れであり予防すること 1.同和者(部落出身者)以下略」
C不動産会社差別調査事象
C不動産会社担当者が、マンション建設予定の周辺に、同和地区があれば近隣説明において理解が得られにくいと考え、部下社員に調査を指示した。部下社員は地図を持参して区役所に来庁し、周辺地域に部落が関係しているか尋ねた。
採用選考時の差別解消
採用選考時に差別することは、重大な人権侵害であり企業の社会的責任において、許される行為ではありません。
就職の機会均等の保障は、部落差別(同和問題)解決の中心的課題の一つであり、とりわけ重要な事柄です。採用選考にあたって、その適性や能力が問題にされる前に、同和地区に対する予断や偏見による差別のために希望する職に就けないという実態があります。こうした偏見に基づく就職差別は、女性や障がい者、外国籍の人々などに対しても数多く見られます。
同和問題をはじめとする人権問題について理解を深めて、採用方針や求人、選考基準、選考方法、採用後の配置等の雇用管理にいたるまで就職の機会均等の保障という見地から点検を行い、公正な採用選考体制を確立することが重要です。
国際人権規約
世界人権宣言を具体的に条約化したもので、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」(A規約)と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由規約)」(B規約)があります。昭和41(1966)年の第21回国連総会で採択され、昭和51(1976)年に発効しました。
「社会権規約」で保障されているのは、労働の権利、社会保障についての権利、教育についての権利などの社会権です。 また、「自由権規約」で保障されているのは、思想・言論・集会・結社の自由、身体の自由と安全、移動の自由、差別の禁止、法の下の平等などの自由権です。
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