おおた区報WEB版 平成30年7月21日号〔トップページ・特集〕
更新日:2018年7月21日
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特集
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ものづくり大田の誇り ― 師弟でつむぐ、技の継承。
あらゆる産業分野で技術革新が急速に進む現代。しかし、どんな時代でも、ものづくりの核心でキラリと輝くのは、人の手による「技」。その「技」を大切にする大田区の町工場では、技術・技能の継承に努めています。
一技術三人体制で変幻自在の対応
株式会社 西尾硝子鏡工業所
■実務指導者 伊藤満次さん
技術には終わりがなく、だからこそおもしろい。時には若手に「こうした方が良いのでは」と言われてハッとすることも。探究心を持つことが大切です。
■若手技術者 片木 久さん
失敗した時は伊藤さんが理論的に図解して原因をわかりやすく説明してくれます。今の課題は作業スピード。質を落とさず早く作れるようになりたいです。
■株式会社西尾硝子鏡工業所
西尾智之 代表取締役社長
弊社の硝子加工技術は全128項目、その一つ一つに全社員の能力レベルを評価しグラフ化(技術の見える化)を行い、層の薄い部分に「一技術三人体制」を導入しました。
たとえば10レベルの技が必要な仕事が来た時、6の能力でもできる仕事は10のレベルの人がしなくても6レベルの人に任せれば、能力10の人は10の仕事だけに集中できます。6レベルの人は仕事を任されることで技術が磨かれ、また彼が1~2レベルの人に教えれば、双方が成長できる──1つの技術を少なくとも3人ができるようにするこの一技術三人体制は、常に3人が同じ作業をするのではなく、必要に応じて仕事を分担する形。これにより変幻自在な対応が可能になりました。
親方・子方マンツーマンで若手育成
株式会社 上島熱処理工業所
■実務指導者 安河内秀樹さん
我々の技はその場で伝えなければわからないことが多く、指導のタイミングを逃さないことが重要。そのためにマンツーマンが最も良い方法だと思います。
■若手技術者 穴澤典也さん
自分が教わったことはいずれ誰かに伝えていきたいので、疑問に思ったことは積極的に質問します。将来自分が親方になった時きっと役立つはずですから。
■株式会社上島熱処理工業所
上島秀美 代表取締役社長
最も温度の高い金属熱処理を専門とする弊社には、厚生労働省認定「現代の名工」3名(退職者を含めると5名)、東京都認定「東京マイスター」2名、金属熱処理技能士特級10名と、多くの技術者がいます。そうした技術力も、きちんと伝承していかなければ「上島の技が落ちた」と言われてしまいます。
そこで弊社では、マンツーマンで若手を育成する「親方・子方制度」をはじめ、初心者・中堅者・ベテランと階層別に教育カリキュラムを設けて社内講習会を開いたり技能検定費用を会社が負担したり、社内イントラネット(ネットワーク)で情報共有する「技能伝承テンプレート(ひな形)」を構築するなど、10代~80代までいる全社員が技に磨きをかけられるよう努めています。
《技術・技能継承の取り組みを紹介しています》
「大田の工匠 技術・技能継承展2018」開催
日時=7月25日(水)~31日(火)午前10時~午後9時
会場=グランデュオ蒲田3階東西連絡通路
●平成29年度「大田の工匠 技術・技能継承」受賞企業6社のパネル展示
●ものづくり体験 など多数の企画を用意
【関連イベント】
受賞企業2社((株)上島熱処理工業所・(株)西尾硝子鏡工業所)の工場見学、ものづくり体験(ロボット・プログラミング教室)
対象・申込方法=大田の工匠 技術・技能継承展で申込書を入手した、区内小学校に通う4 ~ 6年生
日時=8月21日(火)午前/受賞企業の工場見学、午後/ロボット・プログラミング教室(会場=産業プラザ)
定員=抽選で親子ペア25組(50名)
問合先=(公財)大田区産業振興協会 TEL03-3733-6476 FAX03-3733-6459
《経営者のみなさん 後継者はお決まりですか?》
事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する期間限定の特例措置(事業承継税制)が設けられました
特例の適用を受けるためには、①平成35(2023)年3月31日までに、経営者が都道府県に「特例承継計画」を提出すること②平成39(2027)年12月31日までに、後継者が贈与・相続により自社の株式を取得すること、の2点が必要です。
●事業承継税制…東京都産業労働局商工部経営支援課 TEL03-5320-4785
●後継者がいない…東京都事業引継ぎ支援センター TEL03-3283-7555
●経営全般の相談…東京都よろず支援拠点 TEL03-6205-4728、(公財)大田区産業振興協会経営サポート担当 TEL03-3733-6144
お問い合わせ
広聴広報課
電話:03-5744-1132
FAX :03-5744-1503
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