令和7年2月10日「令和7年度予算(案)区長記者会見」

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更新日:2025年2月12日

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会見内容

区長挨拶 

 大田区長の鈴木晶雅です。
 本日はお忙しいところ、令和7年度大田区予算(案)プレス発表に多数の報道機関の皆様にお越しいただきましてありがとうございます。
 本日の会見議題である令和7年度大田区予算案について、これから順次ご説明させていただきます。
 令和7年度予算案に込めた私のメッセージは、「未来へ加速 新時代の幕開け、住みたいまちNo.1へ」です。
 私は、大田区長として、大田区の発展と区民福祉の一層の向上のため、新しい大田区を作り、「笑顔あふれる大田区」を実現するために、区民の皆様の深いご理解とご支援をいただきながら、日々、スピード感をもって取り組んでいるところでございます。
 そして、今年は新たな区の未来をつくり上げていくための基本計画・実施計画のスタートの年です。
 人々の価値観やニーズの多様化、少子高齢化、テクノロジーの進化など、新たな時代に突入した今、暮らしの質やまちの価値を高める、先駆けとなる施策の構築、バージョンアップを図り、人が輝くまち、住み続けたいまちへの明るい未来のビジョンを基本計画・実施計画、予算案に盛り込み、より豊かで、より魅力的な大田区を実現できるよう全力を尽くしてまいります。

将来像の実現に向けて ~基本構想・基本計画・実施計画~

 基本構想、基本計画、実施計画について説明いたします。
 昨年3月に約15年ぶりとなる新たな大田区基本構想を策定しました。
 基本構想で掲げた将来像「心やすらぎ 未来へはばたく 笑顔のまち 大田区」を実現するため、具体的な施策や事業をまとめた基本計画・実施計画を、今年度中に策定する予定です。
 基本計画の期間は、8年間です。8年後に、大田区がどのようになっていたいか、具体的に3つの姿を、基本計画の中でお示ししています。
 2040年以降、本区においても見込まれている人口減少を見据えながら、生活を支えるソフト面で「心豊かに日々の生活を送れるまち」、都市づくりを行うハード面で「機能的な都市づくりが進むまち」、そして両者に共通するデジタル活用の視点から「デジタル技術を活用した利便性の高いまち」という、3つのまちの姿を設定しています。これらを計画推進のキーワードとし、施策の効果を高めてまいります。
 一方、多くの課題がございます。
 その中でも特に、地域の活力を維持し、発展していくために区が意識すべき課題を、「共通課題」と定義し、少子化、つながりの希薄化、担い手不足の3つを設定いたしました。
 共通課題は、分野横断的な共通性があり、かつ、地域社会全体にも共通する課題でもあり、計画実現のために、区だけでなく、大田区に関わるすべての人々の間で共有すべきもの、という位置づけでございます。
 これらの課題を意識し、現時点から必要な対策を講じることで、基本計画を着実に推進してまいります。

基本計画

基本目標1

 基本計画の内容について申し上げます。
 まず、基本目標1は、こどもに特化した目標で、私が最も力を入れてまいりたい分野です。
 「こども・子育て」では、こどもたちが相談しやすい環境整備や、居場所づくりのほか、大田区の地域力を活かした見守りなどを推進します。
 「教育」では、基礎的な学力の向上はもちろん、情報活用能力や異文化理解など、グローバル社会を創造的に、たくましく生きるこどもを育成してまいります。

基本目標2

 基本目標2は、福祉、地域づくり、健康、スポーツ、文化、学びなど幅広い分野を対象としています。
 「福祉」では、安心して暮らせる支援等の充実や、本人の意思に寄り添う権利擁護を推進してまいります。
 「地域づくり、共生、多様性」では、つながりを感じる地域づくりや、多様性を認め合う意識の醸成などを進めます。
 「健康」では、科学的根拠に基づく啓発等により心身の健康づくりを進め、
 「スポーツ、文化、学び」では、誰もが身近にスポーツ、文化、学びを楽しみ、心が潤うような機会の提供や環境の整備などに取り組んでまいります。

基本目標3

 基本目標3は、環境と産業です。
 「環境」では、脱炭素化の推進や循環型社会の構築、豊かな自然を後世に継承するため地球環境に配慮した社会づくりを進めてまいります。
 「産業」では、企業の自己変革の促進や、ものづくりの次世代への継承と立地支援、イノベーションの創出、商店街支援や観光資源の創出・発信などに取り組んでまいります。

基本目標4

 基本目標4は、安全・安心や都市づくりなどに関する目標です。
 「都市づくり」では、蒲田駅や大森駅を始めとした駅周辺の拠点づくりや、空港臨海部のまちづくりなどを、着実に進めてまいります。
 「快適」では、新空港線を含め、移動しやすい交通ネットワークの形成のほか、道路や橋梁の維持管理等を行います。
 「安全・安心」では、耐震化・不燃化による減災都市づくりや、一人ひとりの防災・防犯意識の向上を進めてまいります。
 「公園・みどり」では、こどもたちが自由に遊べる公園づくりや、身近な場所で水やみどりに親しむことができる、まちづくりを進めてまいります。

基本計画を進めていくための主な組織改正

 基本計画を力強く進めていくために組織の面からも再構築をおこないます。
 主な改正点4点をご説明します。
 まず1点目ですが、「地域力推進部」と「スポーツ・文化・国際都市部」を統合し、新たに「地域未来創造部」を設置します。生涯学習やスポーツ・文化芸術と地域の活性化を一体的に推進し、住み慣れた地域でいつまでもいきいきと生活できることを目指します。
 2点目として、「こども家庭部」を改め、新たに「こども未来部」を設置します。これにより子ども・若者支援やこどもの貧困などを含め、切れ目なく総合的かつ一体的なこども施策を推進します。
 3点目として、「環境清掃部」を改め、新たに「資源環境部」を設置します。みどりに関する計画などを含め、環境政策を効果的かつ一体的に行い、脱炭素化や循環型社会の構築、貴重なみどりや生物を未来に残す環境づくりを力強く推進します。
 4点目として、これまで「空港まちづくり本部」で取り組んできた空港対策と空港跡地利用を「まちづくり推進部」で受け継ぎ、臨海部等周辺地域と一体的な施策を展開します。

令和7年度予算案について

 令和7年度予算案についてご説明させていただきます。はじめに、令和7年度予算案のフレームについてです。
 令和7年度一般会計予算案は、3,527億円余。
 令和6年度当初予算に比べると、115億円、3.4%の増と、過去最大の規模といたしました。
 なお、歳入では、区の基幹財源等である特別区税、特別区交付金、税連動交付金等において前年度と比較し、約91億円の増収を見込んでおります。
 予算案の編成にあたりましては、「心やすらぎ 豊かさと成長を実感できる 新しい次代に向け 力強く踏み出す予算」と方針を位置づけ編成しました。
 令和7年度予算は、基本計画・実施計画の初年度「新たなスタートライン」として、区民に身近な基礎自治体として地域特性を踏まえた価値の高い様々な施策を推進する予算になります。
 また、予算編成で掲げた4つの重点ポイントとして、
 一つ目は、安心してこどもを産み育て、学びの充実による人づくりに資する施策
 二つ目は、心豊かな包摂社会の実現に向けた地域づくりに資する施策
 三つ目は、豊かな環境と産業の活力で持続可能な基盤づくりに資する施策
 四つ目は、安全・安心で魅力と利便性あふれるまちづくりに資する施策
 冊子でお配りしている予算案はこちらの重点ポイントごとに掲載しております。

予算のポイント

 予算のポイントといたしまして、
 大田区基本構想に掲げる「未来を創り出すこどもが夢と希望をもって健やかに育つまち」の実現に向け、切れ目のない出産・子育て支援、教育の充実など、子育て支援策に係る経費をご覧のとおり増額しました。
 総額1,150億円と、予算総額全体の3割以上を占める予算を編成しております。また、福祉費においては区歳出の約5割を占めており、こども分野・福祉分野における施策に重点的に予算を配分しております。

人への投資の強化

 区では、人が輝き、人を大切にするまちづくりを進めるため、人材育成・確保策やカスタマーハラスメント対策など、「人への投資」の強化に取り組みます。
 今後、若年労働力が不足し、経営資源が大きく制約されることが想定される中、複雑かつ多様化する課題に対応し、持続的に発展していくためには、区内事業所における人材の育成・確保や職場環境の整備の重要性は従前にも増して高まっています。
 令和7年度は、新規事業として「ものづくり等人材確保のための奨学金返還支援事業」、「福祉現場におけるハラスメント対策事業」、「保育人材の確保支援事業」などに取り組んでいきます。
 また、より質の高い区民サービスを提供するため、区職員のカスタマーハラスメント対策に取り組みます。
 専門的な知識や経験を有する職員を配置し、区役所における実態調査や対策方針などの作成を進めるなど、職員の働きやすい環境づくりと区内のカスハラ対策を目指し、積極果敢に取り組んでまいります。

自治体DXの推進

 区はこれまでも、行政手続きのオンライン化をはじめ申請書作成支援システムによる「書かない窓口」、発券機と連動した混雑状況の見える化による「待たない窓口」など、自治体DX推進に資する様々な取組を行ってまいりました。
 現在、「大田区DX推進計画」の策定を進めております。新計画においては、「一人ひとりの幸せをかなえる~人にやさしく変革を続ける大田区~」を目指す姿に定める予定です。
 今後のDX推進の重点施策としては「窓口DX」による区民サービスの向上と職員の業務効率化、「行政手続きのオンライン化」をより一層推進していくことで区民生活の利便性向上を進めます。
 さらには、めまぐるしい社会変化に応じた人材・組織を構築するためのデジタル人材の育成にも力を入れてまいります。
 なお、令和7年度の主なDX事業はご覧のとおりのほか64項目、約25億の予算を計上しております。
 区民の皆様の区民の安心・安全な暮らしと利便性の高い区民サービスを目指し、自治体DXをさらに加速してまいります。

予算編成上の工夫

 予算編成上の工夫として2つご説明いたします。
 1つ目が、「施策の新陳代謝」です。
 令和7年度の基幹財源等収入は、企業収益が堅調に推移していることなどにより、前年度比で91億円増の2,002億円となり、この増収分については、新たな取組や事業拡充などに活用しました。
 2つ目として、「財政対応力の戦略的な活用」です。
 区の公共施設は築40年以上の施設が全体の半数を占めており、財源として、これまで計画的に積み立ててきた積立基金や、順調に償還してきた特別区債を戦略的に活用し、時期を逸することなく適正に維持・更新を行います。
 区が直面する喫緊の課題に迅速かつ的確に対応するため、限りある経営資源を効果的・効率的に配分し、未来への投資や新たな財政需要に応える予算としております。

安心してこどもを産み育て、学びの充実による人づくりに資する施策

こども・子育て支援

 現在、令和7年度からの5年間を計画期間とする、新たなこども・子育て分野の個別計画である「(仮称)大田区こども未来計画」を策定中です。3月中に計画を策定し、新たな計画のもと、こどもの最善の利益を第一に考えながら、区のこども・子育て施策を着実に推進してまいります。
 令和7年度予算案においても、既存事業のさらなる拡充に加え、新たな支援策も開始し、基本計画の基本目標のひとつである、「未来を創り出すこどもたちが夢と希望をもって健やかに育つまち」の実現に向けて、妊娠期から出産、子育ての各ステージにおいて、すべてのこども・子育て家庭を誰一人も取り残さず、必要とする支援を切れ目なく実施してまいります。
 その中から、一部をご紹介します。
 令和7年度中に、ベビーシッター利用支援事業を新たに開始します。
 一時的に保育が必要となった際に利用するベビーシッターの利用料について、一定金額を区が補助します。既存の一時預かり事業等と合わせ、保護者の皆様の多様なニーズに応えてまいります。
 次に、産後家事・育児援助事業の拡充です。
 母子支援の専門家「産後ドゥーラ」を派遣するにこにこサポートは、妊娠期から産後1年までに利用期間を大幅に拡充します。利用上限時間も拡充し、産前・産後における切れ目のない支援につなげてまいります。
 続いて、情報発信力の強化についてです。
 こどもの育ちなどに関する専用ポータルサイトを新たに構築し、区民の皆様が関連情報にアクセスする際の利便性を大幅に向上させます。
 また、母子保健・子育て支援アプリを導入します。
 アプリでは、妊娠・子育てに関する区からのお知らせの受信や予防接種のスケジュール管理、子育て教室等の予約などができます。
利便性を向上させ、妊婦、子育て家庭の負担の低減につなげてまいります。
 最後に、子どもの発達の特性を早期に把握し、健康の保持増進を図ることを目的とした5歳児健康診査の拡充です。
 令和6年度は、モデル事業として保育園6園と未就園児に実施しましたが、令和7年度は未就園児に加え、区立認可保育園全園、私立認可保育園の中での協力園、幼稚園3園と対象者を拡大し実施します。

学びの充実

 子育て・教育を区政の最重要課題の一つと位置づけ、「笑顔とあたたかさあふれる未来を創り出す力を育てます」の実現に向けた教育を推進します。
 区独自の国際教育として、おおたグローバルコミュニケーション(OGC)事業を拡充し、グローバル人材の育成と英語でのコミュニケーション能力の向上に取り組んでいます。小学校全1・2学年、中学校では全学年、外国語教育指導員ALTの配置を増やし、ネイティブ・スピーカーの英語に触れる機会を増やします。さらに、大森東小学校に設置している、デジタル技術を活用した海外体験 ルームを羽田中学校にも展開し、実践的な英語力を向上させます。
 小学校で、STEAM教育等の教科等横断的な学びを推進する区独自教科「おおたの未来づくり」を全面的に実施し、こどもたちの「創造的な資質・能力」を育成します。
 不登校施策としては、現在、ふれあいはすぬま跡へ、学校型の学びの多様化学校を新築により設置し、令和12年度の開校をめざしています。令和7年度は、学校における別室登校の場となる「校内教育支援センター」の環境整備を進めるとともに、調布地区につばさ教室を新たに開室することで不登校施策をさらに推進します。
 小中学校の給食費の無償化につきましては、国が実施するまでの当面の間は継続して実施してまいります。 令和7年度は区立小中学校に在籍し、つばさ教室に弁当持参で通う児童・生徒についても給食費相当分を支給します。また、東邦大学と連携し共同研究・開発した減塩等をテーマにした給食献立について全校へ展開してまいります。
 特別支援教育の充実として「自閉症・情緒障害特別支援学級」の整備を段階的に進め、自分らしくいきいきと生きるための学びを支援します。
 中学校における部活動では、モデル校14校で、地域のスポーツクラブなどの外部の人材を積極的に活用し、教員の負担を軽減し、生徒が専門的な指導を受けることができ、さらなる部活動の充実を目指します。
 さらに、学童保育につきましては、いわゆる「小1の壁」に直面する保護者の皆様のニーズに応えるため、学校休業日等における開室時間を前倒し、安全・安心に過ごすことができる環境を確保してまいります。

心豊かな包摂社会の実現に向けた地域づくりに資する施策

スポーツ

 11月には「夏季デフリンピック競技大会 東京2025」が日本で初めて開催されます。バスケットボールとビーチバレーボールの競技会場となっている自治体として、パネルや横断幕の作成やデフスポーツの講演会等を実施することでデフリンピック競技大会の気運醸成を図ってまいります。
 また、毎年スポーツの日に、様々なスポーツ種目に親しみ、スポーツへの関心と理解を深め、健康づくりなどを図るため「大田区区民スポーツまつり」を開催しています。大田区総合体育館をメイン会場とし、区内各所で様々なスポーツプログラムを実施しますので、会場を巡りながらスポーツを楽しんでいただけます。
 そして、こどもから大人まで、誰もがランニングをはじめとする様々なスポーツを楽しめる「おおたランニングフェスティバル」を来年度も開催します。今月の23日(日曜日)には今年度の「ランフェス」を開催します。私も皆さんと一緒に楽しみながら走りますので、ぜひ取材にお越しください。
 これらの取組を通して、区民の健康増進やさらなるスポーツ実施率の向上につなげてまいります。

文化・芸術

 区立博物館、記念館での企画展などについてご紹介いたします。
 郷土博物館では、木版画作品を通じて日本の技と美を伝える企画展を開催します。画業の最も充実した時期を大田区内で過ごし、新作版画の制作に初めて挑んだ高橋松亭と、同じく区内に長く居住し、国内外で高い人気を誇る川瀬巴水の作品を展示します。大田区にゆかりのある絵師の作品を区の財産として展示することで、貴重な文化資源をPRし認知度を高め、日本の伝統技術への理解を深めていただく機会とします。
 龍子記念館では、川端龍子の生誕140年を記念した特別展を開催します。龍子と俳句を通じて親交を深めた川合玉堂との交流を紹介する特別展です。今年度も川端龍子と現代アート作品のコラボレーション企画展を開催し、多くの報道機関の皆さまにご取材いただき発信いただきました。ありがとうございます。
 熊谷恒子記念館では、恒子のかなの美展の開催中に、地域の文化活動と連携した事業を展開し、区内在住の伝統工芸士である町田久美子氏の「東京手描友禅」の取組みを、恒子の着物や関連作品とともに展示します。

豊かな環境と産業の活力で持続可能な基盤づくりに資する施策

環境政策

 カーボンニュートラルの実現をめざして、区民及び事業者の行動変容の輪を広げる2つの環境に関する事業についてご説明いたします。
 家庭のCO2を削減するため、今年度開始した「家庭用燃料電池エネファーム」の設置助成は、大変好評をいただき、来年度は規模を広げ継続いたします。
 「家庭用燃料電池エネファーム」は、水素と酸素を反応させて、電気とお湯をつくり出す省エネ機器です。今後、設置したエネファームが発電した電気量をご報告いただき、CO2の削減量を「見える化」してまいります。
 続いて、事業者を対象とした脱炭素推進の取組として、今年度から、区内事業者20社を対象に、「CO2可視化システム導入支援事業」を実施しております。
 このシステムは、電気やガス等の請求書をアップロードするだけで、エネルギー使用量やCO2排出量を簡単に「見える化」できます。また、その実態をふまえて、業務改善等のCO2排出量削減につながる取組を提案することで、事業者の行動変容を促進します。
 来年度は、脱炭素に向けた行動実践に関する普及啓発を拡充し、更なる導入促進を図ってまいります。

産業振興

 はじめに「産業のまち未来基金」の創設です。
 新たに産業振興に活用するための基金を創設し、その基金を活用することで、区内産業の経営基盤を支え、区内産業の維持・発展を図り、「大田区産業振興ビジョン」に掲げた将来像の実現につなげてまいります。
 続いて、ものづくり等人材確保のための奨学金返還支援事業についてです。
 「産業のまち未来基金」を原資として、区内中小製造業・運輸業・建設業に新たに就職し、大田区内に居住または転入した場合に、奨学金返還額の半額を最長5年間助成します。区内中小企業の採用力を向上させるとともに、区内在住・在勤の若年層の経済的負担を軽減します。 
 続いて、「キャッシュレス決済ポイント還元キャンペーン」についてです。
 今年の秋頃を目途に、還元率20%、期間中の付与上限は5,000ポイントで実施を予定しています。日常的に区内店舗でキャッシュレス決済を利用できる環境整備を目的として、民間キャッシュレス決済サービスの導入を後押しするとともに、区内の消費喚起をはかり、経済活性化につなげていきます。
 続いて、イノベーション創出の推進についてです。
 公民連携にてまちづくりを進めている羽田イノベーションシティを起点に、匠の技術を有する区内企業とスタートアップ等が連携した新たなプロジェクト創出を支援するオープンイノベーション促進事業を新たに開始します。
 さらに、地域課題解決に挑戦する企業等に対して、実証実験から実装までを切れ目なく支援する実証実験・実装促進事業を展開し、新たなイノベーションを創出してまいります。

安全・安心で魅力と利便性あふれるまちづくりに資する施策

防災対策

 登半島地震等災害対応の教訓や、施策の進展等を踏まえ、飛躍的に防災対策を進めます。
 まず、被災者支援の基盤の強化です。デジタル技術を活用した「大田区防災アプリ」等の機能拡張を行い、避難所入退所機能の実装や、り災証明書発行申請のオンライン対応などを行います。
 また、着実に備蓄物資等を供給できる物流体制構築に取り組むことで、災害発生時にも区民の皆様が安心して生活を継続できる体制を推進します。また、1日も早い復興のための事前対策として「復興事前方針」を策定します。
 災害に備えるために各種訓練は具体性を重視し実施します。模擬訓練場等での救助活動と連携した「災害対策本部運営訓練」を行い、救命・救助能力を高めます。また地域や区民の皆様と、避難生活の各種課題をテーマとした「総合防災訓練」を行い、自助・共助の必要性を促してまいります。

防犯対策

 首都圏を中心に匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウによる事件が発生していることから、区民の皆様が安全に安心して暮らせるよう、防犯対策をさらに推進します。
 特に注力するのは、青色回転灯パトロールカーの運行拡充です。時間帯を増やし、巡回場所を広げることで、区内全域をくまなく巡回します。加えて、地域団体の防犯カメラ設置促進や、路面シートなどで防犯カメラの存在を周知することで、犯罪の発生を抑止し、事件発生時も速やかな解決を促す効果が期待できます。
 また、特殊詐欺対策に効果のある自動通話録音機の無償貸与を継続します。
 区では引き続き、安全・安心なまちづくりに向けて、防災・防犯対策を進めてまいります。

高台まちづくり

 大田区では、近年の気候変動により水害が激甚化・頻発化していることなどを踏まえ、区民の生命と財産を守ることを目的に、区内全域を対象とした「大田区高台まちづくり基本方針」に基づくまちづくりを推進していきます。
 高台まちづくりとは、建築物の上層階の利用・公園等公共施設・高規格堤防の整備で高台拠点を確保することにより、住民の生命の安全や最低限の避難生活を担保し、さらには住民の浸水区域外への避難を可能とし、まちの課題解決にもつなげていく取組です。
 令和7年度は、学識経験者の専門的知見を得ながら「大田区高台まちづくり基本方針」に基づく高台整備に関する事業検討を進めます。基本方針で定める短期・中期・長期の目標に沿って高台まちづくりを推進するために、事業化を目指す施策について、関係部局との調整を図りながら具体化していきます。

災害に強い安全・安心なまちづくり

 区では、首都直下地震など大規模な震災や、激甚化する風水害による被害を最小限に抑え、区民の皆様の生命と財産を守る取組を着実に推進するため、個別相談、所有者責務の説明及び指導、技術的支援、改修などに必要な費用の一部助成など、多様なアプローチにより災害に強い安全・安心なまちづくりを進めてまいります。
 令和7年度予算では、これまでの旧耐震基準建築物への耐震化助成とともに、令和6年度に開始した新耐震基準木造住宅の耐震化助成事業を拡充し、新たに耐震設計及び工事助成事業を開始します。
 また、区内に多数あるがけの改善に向け、個別に対策工法等の提案を行うことで、所有者責務の明確化、改善機運の醸成を図ってまいります。
 引き続き、災害に強く回復しやすい減災都市の実現に向けた取組を強化してまいります。

みどりのまちづくり

 区では、豊かなみどり空間を守り、将来に引き継いでいくため「大田区緑の基本計画グリーンプランおおた」を策定し、様々なみどり施策を進めております。
 令和7年度は、「大田区グリーンインフラ事業計画の推進」として、公園や散策路などのみどり空間を活用した緑陰形成による暑熱環境の改善や雨水貯留による防災・減災機能の充実など、みどりが有する多様な機能を活用し、まちづくりの課題解決を積極的に進めてまいります。
 また、田園調布区民農園跡地の再整備に伴い、従来の区民農園が持つ機能に加え、雨水貯留、みどり空間の形成及びにぎわい創出など、グリーンインフラの機能を有した多機能型の公設区民農園を整備してまいります。

自動運転バスの実証実験

 1月24日から2月23日までの間、京浜急行バス株式会社や羽田みらい開発株式会社と連携して、レベル2自動運転バスの実証運行を実施しております。
 2月9日時点で約950名の方が乗車され、乗車された方からは「運行もスムーズで非常に将来性を感じた」などのお声をいただいております。SNSで発信した際も大変大きな反響がありました。
 地域の移動の足の確保やバス運転手不足への対応策として、自動運転バスの実証実験に継続的に取り組んでまいります。

公園整備

 魅力的な公園創造プロジェクト推進事業として、区民の皆様により親しまれ、愛される公園の実現に向けて、公園の整備方針や、利活用の方針などを記した、(仮称)大田区パークマネジメントマスタープランを策定します。
 公園内で飲食等ができ、楽しく過ごせるような取組みや、こどもが自由に遊べる仕掛け、防災機能を備えた公園づくり等、様々な取り組みを実施することで、より魅力的な公園を創造してまいります。
 なお、これまで進めてきた公園のリニューアルについては、区民の皆様のご要望に迅速にお応えする必要がありますので、引き続きスピード感を持って進めてまいります。例えば、健康づくりを支援する「いきいき健康公園づくり」や、親子で安全、安心して遊べる「子育てひろば公園づくり」、小中学生からとても人気のある「ボール遊びができる公園」整備など、地域の特性を活かした、多様な特色を持つ公園づくりを切れ目なく進めてまいります。

(仮称)羽田空港跡地第1ゾーン都市計画公園整備・運営~HANEDA GLOBAL WINGSのまちづくり~

 本公園は、羽田イノベーションシティの南側に位置し、広さは約3.3ヘクタールあります。
 憩い、にぎわいを創出するため、大田区初となるPark-PFI手法の活用により、整備・運営を一体的に実施できる事業者を公募し、「株式会社かたばみ」を代表企業とする事業者グループに決定いたしました。
「HANEDA“えん”PARK いにしえと今 そして未来を“えん”でつなぐ 」というコンセプトのもと、「区が目指す5つの方向性」が実現できる魅力ある提案を受けました。
 今後は、令和10年度の開園を目指し設計・整備を進めてまいります。

新空港線(蒲蒲線)整備、沿線まちづくり

 鉄道整備と沿線まちづくりを進めることで交通結節点としての機能の向上を図るとともに、地域の特徴を活かした魅力溢れる誰もが暮らしやすい活気あるまちをめざす事業を進めます。
 新空港線、ここでは区民に馴染みのある蒲蒲線と言いますが、第一期整備については、国の令和7年度予算概算要求が計上され、昨年末に閣議決定されたことは、事業化に向けた大きな一歩と捉えています。整備主体である「羽田エアポートライン株式会社」が事業化に向けて準備を進めており、区は引き続き同社の取組を支援するとともに、第二期整備に向けた調査や関係機関との調整を行います。
 また、これまでの取組で各地区のまちづくりの機運も高まっており、令和6年3月に策定した「鉄道沿線まちづくり構想」に基づき、蒲田駅周辺は、蒲蒲線整備を踏まえた中長期の基盤整備計画を具体化していくとともに周辺街区の建替えを促進します。
 京急蒲田駅周辺は、駅西口北地区の再開発事業の都市計画決定に向けた手続きや、大森駅周辺では駅西側の基盤整備を進めるとともに、新たに長期的な視点で周辺地区の一体的なまちづくりの方向性を検討します。下丸子駅周辺では、踏切対策と駅周辺の一体的なまちづくりを進めるため、グランドデザインを策定し、地域のまちづくりへの機運を高めていきます。そのほか、平和島駅周辺は、今年度に策定する「平和島駅周辺地区グランドデザイン」に基づき、駅前周辺の歩行者環境の改善に取り組みます。
 蒲蒲線と沿線のまちづくりが区全体に波及し、将来に渡って発展するまちづくりを推進していきます。
 まちづくりの現状です。今後のイメージをお示しいたします。
 左側の図は、新空港線(蒲蒲線)整備と一体となった、JR・東急蒲田駅周辺におけるまちの絵姿と中長期の基盤整備計画の一例です。24時間開放のJR・東急蒲田駅東西自由通路の将来イメージ図となります。
 右側の図は、京急蒲田センターエリア北地区において、再開発準備組合が作成した再開発建物全景と、低層部の商業空間と一体となった広場空間のイメージパース図です。現在、区では市街地再開発事業の都市計画手続きを進めております。
 区としましては、新空港線(蒲蒲線)に合わせて、沿線のまちづくりも着実に進めてまいります。

大田区らしい返礼品による魅力発信

 ふるさと納税返礼品の取り組みについて、ご紹介させていただきます。
 年々深刻化する特別区民税の減収は看過できない状況にある中、大田区では、令和6年度より返礼品を拡充しており、区の魅力ある資源などを区外へプロモーションするツールの一つとして活用しております。
 令和6年4月時点では、勝海舟記念館関連品5品目のみでしたが、空港所在都市としての区の特性を活かした返礼品を開発したほか、地場産業の発展にも資するよう、広く区内事業者からの公募も開始するなど、着実に拡充を進めているところです。本日時点では約90品目に達し、令和6年度内には100品目を達成できる見込みです。
 令和7年度におきましては、更なる返礼品の拡充に取り組むほか、観光や宿泊等で区へ来訪された方が滞在中に手軽に寄付できる「現地決済型寄付」の環境を新たに整備してまいります。
 引き続き、将来にわたり選ばれる自治体であるよう、区の魅力を発信し、交流人口の増加や地場産業の発展等につなげてまいります。

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