平成25年度 新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会 開催報告
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更新日:2021年4月1日
開催内容
- 開催日時
平成25年8月5日 月曜日
午後1時30分から午後4時まで
- 開催場所
大田区産業プラザ4階
コンベンションホール
- 次第
1 開会
2 会長あいさつ
3 役員紹介
4 顧問あいさつ
5 活動報告
6 講演
新空港線「蒲蒲線」の大いなる可能性とさらなるまちづくりの推進
―世界に躍進する国際都市「おおた」をめざして―
講師 芝浦工業大学工学部土木工学科 岩倉 成志 教授
7 副会長あいさつ
8 閉会
開催概要
平成25年度新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会は、総勢283名の参加者で開催されました。当区民協議会会長の中島 寿美大田区自治会連合会会長の開会あいさつから始まり、顧問の松原 忠義大田区長、高瀬 三徳大田区議会議長、平 将明衆議院議員、松原 仁衆議院議員、鈴木 あきまさ東京都議会議員、橋本 欣一目黒区議会議長、前田 和茂渋谷区議会議長へと続きました。
次いで、当区民協議会事務局から、新空港線「蒲蒲線」整備促進事業の活動報告を行い、続いて、芝浦工業大学工学部土木工学科の岩倉 成志教授による『新空港線「蒲蒲線」の大いなる可能性とさらなるまちづくりの推進―世界に躍進する国際都市「おおた」をめざして―』と題した講演が行われました。
閉会は、舟久保 利明協議会副会長(大田工業連合会会長)のごあいさつで締めくくられました。
会長あいさつ(要旨)
中島 寿美会長
大田区新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会は区民を中心に、新空港線「蒲蒲線」整備促進のための活動を展開していくことを目的として発足し、本年も昨年に引き続きまして、区民協議会の開催となりました。
現在、JR蒲田駅及び東急蒲田駅と京急蒲田駅との間が800mほど離れていることによりまして、区内での移動が大変不便となっております。例えば、調布地域の東急線沿線に住んでいる方がJR蒲田駅経由で空港方面へ行く場合は、車を拾うか、JR蒲田駅から京急蒲田駅まで歩くか、また、バスに乗って行くことになります。その反対に、京浜急行線沿線からJR蒲田駅に向かう場合も同様でございます。しかし、このような状況の中で、二つの駅間を行き来するには、高齢者、それから障がいをもつ人、幼児を抱えての移動などは特に不便に感じます。また、JR京浜東北線、東急線、そして京急線を通勤・通学するなどで相互に利用される多くの区民は、東急と京急の蒲田駅が結ばれることでとても便利になります。そして、本路線の整備により、蒲田駅周辺のみならず、活力ある大田区のまちづくりに大きく寄与するものと考えております。
そのため一年でも早い着工に向け、会長といたしましても、皆様からのご意見などを参考にしつつ、皆様との連携に努めてまいります。
顧問あいさつ(要旨)
松原 忠義大田区長
蒲蒲線の構想を始めましたのは、昭和62年です。まさに26年前になります。大田区にとって、長い間、新空港線「蒲蒲線」は、悲願の問題でありました。しかし、26年という大変長い歳月の間には、時代の変化があり、平成22年に羽田空港が32年ぶりに国際化となりました。そして、私共の大田区の基本構想は、地域力と国際都市という大きな2本柱を掲げてスタートさせました。現在、羽田空港は国際線の就航が進み、来年の3月から国際線の昼間の時間帯で、さらに3万回増えることになっています。
一方、羽田空港の跡地開発は、53ヘクタールを三つに分けて、第1ゾーンを大田区が中心に進めているところです。この第1ゾーンについて、東京都では、アジアヘッドクォーター構想特区の中で、そして、国では、国際戦略特区として、位置付けられています。まさに羽田空港をどう活かすかということが、この長く続いております日本の低成長やデフレな経済状況の脱却をしていく大きな経済再生の拠点に恐らくなると思っています。大田区では、東京都や国とともに、話し合いや検討を進めています。国際都市を目指す大田区では、空港から大田区へ人とモノを運ぶ新空港線の役割が、ますます重要になってくると思っています。
先だって大田区では、「おおた未来プラン(後期)」を策定するにあたり、区民の方にアンケート調査を行いました。「住みよいまちづくりに向けて大田区はどのような課題に力を入れていくべきでしょうか。」という問いに対して、建築物、道路、橋梁等の耐震化の強化が51.4%の支持で第1位。そして、蒲田におけるJR・東急電鉄と京浜急行の接続改善、新空港線「蒲蒲線」の整備について40.2%の支持で第2位でした。区民にとって、4割の方が、新空港線「蒲蒲線」の整備促進について、期待をしているという調査結果となっています。
新空港線実現への大田区としての確固たる意志を示していくために、新空港線の整備資金として昨年度に5億円、今年度も5億円、計10億円の基金の積立を行っています。
新空港線につきましては、引き続き国や東京都など関係各位の協力を得ながら取り組んでいきたいと思っています。合わせて、区民協議会の皆様のお力を得て、新空港線の早期実現を目指してまいります。
高瀬 三徳大田区議会議長
新空港線「蒲蒲線」の整備による効果は、蒲田地域のまちづくりのみならず、大田区全体の発展に大いに寄与するものと期待しています。羽田空港は再拡張による4本目の滑走路が平成22年10月より供用開始されたうえ、来年には、さらに国際定期便が増便される予定と聞いています。この好機に大田区は世界につながる玄関口として、率先して新たな海外との国際交流拠点づくりを目指していきます。新空港線「蒲蒲線」の整備は羽田空港の国際化のさらなる進展と羽田空港跡地の活用にも対応できるものと考えています。加えて、災害時や緊急時、また運行障害などの発生した時の迂回ルートが複数確保されるなど、その効果は非常に大きいと思っています。近年、鉄道はバリアフリー化が進み、高齢者や障がい者、そして子供連れの方々に大変喜ばれている乗り物となり、とても優れた移動手段となっています。
このように大きな地域の利益を産み出す新空港線「蒲蒲線」ですが、その整備促進のためには私たち地元大田区民の強い熱意が最も重要と考えています。そして、私共、大田区議会といたしましても、議員一致団結し、区民の皆様と共に新空港整備促進に向けて積極的に推進してまいります。
平 将明衆議院議員
我が国は様々で構造的な課題をたくさん持っていますが、それをブレークスルーして経済を成長させていかなければなりません。国家としての最重要な戦略的インフラが羽田空港であります。様々な課題は、羽田空港という戦略的なインフラを使って解決が可能ではないかと考えています。そして、羽田空港が持つ様々な機能が増強されていくことによって、新空港線「蒲蒲線」の重要性が益々高まっていくものと思います。
日本の財政は大変厳しい状況にありますから、何でもかんでも公共事業というわけにはいきません。二つの大きな流れがあると思っています。一つには、減災。予期されている災害に対して、インフラを整備して減災していく。さらには高度経済成長の時に整備をしたインフラが、老朽化しています。そこをどう手当てをしていくのかというのが一つ。もう一つは、将来の成長につながる設備投資はしっかりとやっていこうということであります。B/C、費用対効果、こういったことも、しっかりと頭に入れていかなければなりません。新空港線「蒲蒲線」は、B/C費用対効果が極めて高いものであります。そして、羽田空港の機能が強化されればされるほど、B/Cは、さらに高くなっていきます。有力な政治家がいるから、ここの公共投資はやりましょうと、そういう時代は既に終わりました。B/Cの高いものから順にやっていくことが、日本の経済の成長にもつながりますし、効率性を高めていくわけであります。そういった視点からも、新空港線「蒲蒲線」は、我々国政で活動する者からしても自信を持って、やるべきだと考えています。そして、それは大田区のみならず、日本の経済成長そのものに寄与するものであると確信をしています。
地元選出の議員として、しっかりと皆様の熱意を受け取って、そして、こうした政策の推進を図るために活動をしてまいりたいと思います。
松原 仁衆議院議員
今、日本の国をとにかく元気にしようという動きの一番中心、日本の国が元気になる前提条件は、東京都が元気になり、日本を引っ張っていく、これが一番基本だと思います。その東京都が元気を持つにはどうするか、アジアの中で中核都市になることです。そこにアジア全体の金融や情報、様々なものが集まってくる、これがハブ都市です。アジアの新しい時代の中心都市に東京がなれるかどうかが問われているわけであります。どうやったら、アジアの中心都市、ハブ都市に東京がなるかと言えば、都市に魅力と様々なインフラを作ること、具体的に言えば24時間オープンの空港です。これは色々な議論があるかもしれませんが、ハブ空港がハブ都市にあることが、大前提で有ります。そのためには羽田が頑張らなければいけない。そして羽田空港が頑張るためには、どこが頑張るかと言えば、これは大田区です。そして、目黒、世田谷、品川、渋谷の城南地域の力強い結束が羽田空港の大きな前進につながり、羽田空港の前進が東京の繁栄につながり、東京の繁栄が日本の繁栄につながるということでありますから、そのためにも、新空港線「蒲蒲線」が一番重要な起爆剤だと思っています。
本日の区民協議会が、新空港線「蒲蒲線」の一つの大きな前進となり、それが東京の活力、日本の活力の一番の原点となることを祈念しています。
鈴木 あきまさ東京都議会議員
都議会を代表して、都議会としての取り組みへの経過と決意を述べたいと思っています。新空港線「蒲蒲線」は、平成12年の運輸政策審議会答申で、平成27年までに着手すべき路線A2路線ということに位置付けられまして、大田区を中心として、取組みが始まりました。大田区の悲願を実現するためには、国会、都議会、区議会、そして今日お越しの民間団体の皆様が総力をあげて、この夢を実現していかなければいけない。JR・東急蒲田と京急蒲田間、800mされど800mを結ぶことは、東京全体、日本全体の観点から必要なのだと思っています。
練馬方から渋谷を通って、国際戦略拠点である特区の羽田までを結ぶこと、大田区が産業交流施設を作って海外の力を、大田区に呼び込んでいくことには、新空港線「蒲蒲線」という足が必要と考えています。このことを国に、東京都にしっかりと物申していく。合わせて、実現のためには、皆様のエネルギー、パワーが必要だとも思っています。
私共も今申しあげました観点から、全力を傾けまして、与党自民党・公明党、そして民主党さんにも共産党さんにも本当に協力してもらい超党派で、これからも、新空港線「蒲蒲線」整備の夢を実現するために精一杯、努力をさせていただきますことを御誓い申しあげます。
橋本 欣一目黒区議会議長
目黒区内には、東急東横線が背骨のように走っていまして、目黒区民の多くの方々が、東急東横線を利用しています。区民の方々が羽田空港に向かう場合には、東急東横線を利用して多摩川で乗り換えて、また蒲田で乗り換えて歩いて京急空港線を使うか、もしくは渋谷駅、そして目黒駅を利用してJR山手線、そして品川駅から乗り換えて京急線で羽田空港へ向かう、このようなルートで区民の方々が羽田空港に向かっています。概ね区民の方々は1時間ぐらい時間を使って空港に向かっているわけですが、新空港線「蒲蒲線」が開通すると、自由が丘地区の方々は約19分、およそ全体の3分の1の時間が短縮します。目黒区民の方々は、もとより周辺地域の方々、東急東横線と3月からつながりました副都心線沿線、そして西武池袋線または東武東上線の方々にも、大きな利便性があるものと確信をしています。
目黒区民を代表する目黒区議会としましても、新空港線「蒲蒲線」の開通には、尽力をしてまいりたい、という思いで今日は馳せ参じた次第です。皆様と共に、この新空港線「蒲蒲線」の開通を願う一員としまして、これからも尽力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申しあげます。
前田 和茂渋谷区議会議長
新空港線「蒲蒲線」の実現、これは大田区の方のみならず、私共、渋谷区にとりましても、渋谷と羽田空港が一本でつながる、大変期待をしているところです。ご承知の通り、私共の渋谷駅では今年の3月、副都心線と東急東横線の相互直通運転が始まりました。大変便利になっています。
でも本当のことを申しますと、今ちょっと不便な状況となっています。駅や駅周辺での開発を行っているので、どうしても出入り口を仮設にしていたり、工事箇所を迂回しなければならないので、動線が厳しくて工事が終わるまでは不評な所があるのですけれども、完成しましたならば大変便利になると思っています。ただ、大変便利にはなりますけれども、私共の駅周辺の商店街の方々からは、渋谷が通過駅にならないように、大変危機感を持って活動をやっています。確かに交通路線が便利になれば移動が楽になります。しかし、各駅がそれによって通過駅にならないよう、これは沿線の各々の街が切磋琢磨しながらお互いに発展を遂げる、これが大変重要になってくると思います。
新空港線「蒲蒲線」の早期実現を機に、各沿線の都市、大田区、渋谷区、目黒区、そして世田谷区、各まちの発展をお祈り申し上げます。
大田区活動報告
事務局:川野 正博大田区まちづくり推進部長
- 活動報告
新空港線「蒲蒲線」の概要及び整備促進事業の経過を説明し、その後に、平成24年度活動報告、続いて今後の方向性について報告を行いました。
講演(要旨)
芝浦工業大学工学部土木工学科 岩倉 成志教授
『新空港線「蒲蒲線」の大いなる可能性とさらなるまちづくりの推進 ―世界に躍進する国際都市「おおた」を目指して―』と題して講演が行われました。
大都市交通センサスのデータから見て、東急多摩川線、京急空港線の設備は、潜在的に非常にたくさんの人を運べるはずの路線であるにもかかわらず、あまり活用されていない。この路線をうまく使って、短い区間の整備を行う新空港線「蒲蒲線」の整備は、今ある社会資本のストックを有効に利用していくことが可能で、蒲田周辺の都市開発を大きくバックアップする可能性もあると考えています。
現在までに色々と検討した結果、提示されている構想案が、一番の最適解ということになっているかもしれないが、見方によっては、将来への可能性とか、整備のしやすさから、違う案というのも考えてもいいのかもしれない。今一度、自由に発想することも大事なことだと思います。
国土交通省では、次期答申となる検討、これから15年先の2030年までの鉄道プロジェクトについて議論が進められています。地震に強い鉄道であること、安定・安心してできる利用しやすい快適な都市鉄道であること、国際競争力の強化に資する都市鉄道であること、地域経済・産業の活力に資する都市鉄道であること、省エネルギーであることの5つの方向性を分解した17個の細かな方向性を定義していますが、新空港線「蒲蒲線」に直接関係する方向性が8つも該当するプロジェクトというのは、希であり、国土交通省の委員会の中でも、非常に重要なプロジェクトだと思っています。
閉会のあいさつ(要旨)
舟久保 利明副会長
新空港線「蒲蒲線」については、古くから実現すれば大田区民や大田区内の町工場に勤める従業員にとりましても通勤アクセスの向上が図れる可能性があるなど大きな期待が持たれていました。区内の鉄道が東西南北につながることは地域をつなぎ、人やモノをつなぎ、区民の未来やまちの発展につながってまいります。これまでものづくりの町、大田区の企業は大田区内外と連携して、区外の需要を取り込み、区内企業のつながりで製品を完成させることで発展させてまいりました。
大田区には、羽田空港があり、国際化となったことで、さらに活性化が進み、世界に製品をお届けする絶好の機会となることが期待されています。その意味において、新空港線「蒲蒲線」の整備は、産業の発展やまちづくりと鉄道をリンクして考える場合、その経済効果は計り知れないものがあると考えられます。
今後も皆様と一緒になって、まちの活性化を実現する新空港線「蒲蒲線」を進めていきたいと思います。大田工業連合会もこの区民協議会と連携して、新空港線「蒲蒲線」の実現に引続き邁進していきたいと考えています。
皆様には是非とも、新空港線「蒲蒲線」整備の早期実現に向けた活動をお願いするとともに、さらなるご理解とご協力をお願い申し上げます。
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