大田区の野菜と花
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更新日:2021年2月15日
馬込半白節成胡瓜(まごめはんじろふしなりきゅうり)
馬込半白節成胡瓜(まごめはんじろふしなりきゅうり)
馬込地区で栽培されているキュウリの中で「馬込半白節成胡瓜」(まごめはんじろふしなりきゅうり)(以下「半白胡瓜」)と称される品種は、明治30年代(1895)から昭和30年(1955)ころまで栽培されていました。このキュウリの名称は、「馬込」で特産される「半白」―もと(ヘタ)の部分は緑色でその下が色白で、「節成」―茎の節ごとに実が成る「胡瓜」ということで名づけられました。
この、半白胡瓜は名のとおり、ほとんど白く、一般の青胡瓜に比べ柔らかく、好んで食されていましたが、日持ちが悪く、白いところが黄色く変色してしまうので、消費地に近い近郊農村であった馬込などがその生産地となっていました。
馬込半白節成胡瓜(まごめはんじろふしなりきゅうり)
半白胡瓜の起源は『東京府の産業農業』(東京府1929)によると、明治初年に南葛飾郡砂町の青節成の種から偶然に一変種を発見し、改良を加えて完成したという説があると記載されています。馬込が半白胡瓜の特産地となったのは、それまでの特産地であった大井町付近が宅地化したため、その周囲に産地が移動したのが契機でした。そして、明治末から大正にかけ、キュウリ栽培にたけた篤農家が現れ、キュウリの収穫の一方、種を採り販売も行いました、この品質保持や改良により、種は地方へも発送され、温暖な各地で栽培され、「馬込半白」の名を有名にしました。また、支柱を立てて育てる方法、支柱栽培も開発され、これも各地へ広まりました。
戦後になり、流通のため、変質しにくい店持ちのする品種が好まれるようになり、また、都市化により農地が減少し、衰退していきました。
馬込大太三寸人参(まごめおおぶとさんずんにんじん)
馬込大太三寸人参(まごめおおぶとさんずんにんじん)
馬込の名を冠するニンジンで「馬込大太三寸人参」(まごめおおぶとさんずんにんじん)(以下「三寸人参」)があります。この品種は、昭和25年(1950)に農林省に種苗名称登録された西洋ニンジンの改良種です。鮮やかな朱色で、長さは10センチメートル(3寸)程度、短い円錐の尻つまり形をしており、根の先が丸みを帯びているのが特徴です。芳香があり、柔らかく甘く、9~12月にかけて出回りました。
元来、東京の南部、荏原郡の台地は、『東京府下農事要覧』によれば、長ニンジンが栽培されていた地域です。長ニンジンは30~50cmの長さに成長し、赤土の台地の上に黒ボク(黒土)が厚く堆積している土地に色の良いものができました。こうした長ニンジンの栽培経験豊かな地域へ、明治末か大正初期頃に西洋ニンジン
が持ち込まれました。このニンジンの交配、品種改良を試みるうちに、
大型で色の良い、三寸人参がつくれるようになりました。
馬込大太三寸人参(まごめおおぶとさんずんにんじん)
大正末から昭和初期、畑では盛んに「馬込半白節成胡瓜」がつくられており、ニンジンどころではなかったようです。三寸人参が本格的につくられるようになったのは種苗名登録された昭和25年(1950)以降で、馬込の農家はどの家も秋の野菜は三寸人参をつくる状態でした。三寸人参の種苗登録は大森東部農業協同組合(現JA東京中央馬込支店)として行われ、採種販売も大森東部農協を通じて行われていましたが、馬込地区の市街化が進んだ、昭和37・38年(1962、3年)ころまでで終わりました。
現在では、ごくわずかの農家が栽培しているだけで、稀に、JA
東京中央馬込支店の直売所に出回ります。
馬込のシクラメン
馬込のシクラメン
大田区の西部に位置する馬込地区で現在でも栽培されているシクラメンは、戦後、大森東部農業協同組合(現JA東京中央馬込支店)の青年部有志が「馬込園芸研究会」を立ち上げ、昭和27年(1952年)に試験的に500鉢ほどを作り始めたのが実質的な始まりです。
研究会では、温室栽培による、サイネリア、プリムラ、アザレアなどと合わせシクラメンの栽培を始め、次第に生産を増やしていきました。
そして、東京の熱帯夜に弱いシクラメンを、夏から秋にかけて、冷涼地へ委託栽培に出すようになる昭和38年(1963年)ころには温室栽培の中心となりました。
馬込のシクラメン
優良系統選抜と改良、また高い栽培技術によって優良なシクラメンを生産したので、「馬込のシクラメン」として名が広まりました。
現在でも2軒の生産農家があり、11月から年末になると、温室は、出荷・販売される色とりどりのシクラメンでおとぎの国のようになります。
これらの、シクラメンはほんどが園芸市場を通さない、直売の形で販売されています。この形態での販売はシクラメン栽培を開始した当時のもので、周辺の住宅地や人づてに評判を聞き訪れる人も少なくありません。
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