中学生がこれからの大田の教育について意見発表をしました

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更新日:2023年7月20日

 こども基本法(令和5年4月施行)では、こども施策の策定にあたって、こどもの意見表明機会の確保、意見の尊重が基本理念として掲げられています。
 学校教育を受ける当事者である生徒の意見を聴き、これを反映させていくことは重要な視点であるため、令和5年6月5日(月曜日)に開催された、第1回新おおた教育ビジョン策定懇談会において、区内の中学生4名が、これからの大田の教育について意見発表を行いました。
 教育委員会では、これらの意見をしっかりと受け止め、子どもたちが充実した学校生活を送り、未来社会を主体的に生き抜いていく力を身に付けることができるよう、新たな教育ビジョンの策定を進めてまいります。

発表内容

大森第十中学校 原 理紗さん 「なりたい大人について」

 私のなりたい大人は、周りの人と笑い合える大人です。学校で友達と笑い合っているとき、どんな悩みでも忘れてしまうような、これ以上にない楽しさを感じます。大人になっても、このような瞬間をふとしたときに味わえる、そんな生活を送っていきたいです。
 私がこのような大人になりたいと思ったのは、いつも笑わせてくれる友達がいるからです。私自身、もともと少し気にし過ぎてしまう性格で、小さなことで悩んでしまうこともたくさんありました。しかし、今振り返ってみると、そんなとき一番近くで笑わせてくれたのは友達で、楽しい思い出の中には必ず誰かがいました。毎日誰かが笑顔をくれて、今では友達に「いつでも笑顔だね」と言ってもらえることもあります。
 しかし、いつも周りの人に幸せをもらって、支えてもらっているからこそ、時々不安になることがあります。それは周りの人がくれたものと同等以上のものを、相手に返せているかということです。私は、誰かに一方的に笑わせてもらうのではなく、周りの人と笑い合える関係を築けるようになりたいです。そのために、誰かがくれた笑顔や優しさは必ず誰かにつないでいきたいです。たとえそれが優しく笑わせてくれた本人ではなくとも、優しさがつながれば、いつかその人にも届くと思うからです。
 笑顔の輪というと、ありきたりな言葉に聞こえるかもしれません。しかし、失敗をしてしまっても、何か問題があるときでも、とにかく笑顔でいれば、そんな状況ですら明るく変えられるのだと思います。
 そのため、周りの人と笑顔の輪、優しさの輪を築いていけるような、また、その輪の一部であれるような、そんな大人になりたいです。
 また、そんな大人になるために、私はこれからたくさんの人と出会い、様々な価値ある経験を積み、人を笑顔にすることができる優しさを育んでいきたいです。たくさんの経験を積むために必要なこととは、社会で生きるということだと思います。中学生はまだ社会に出られる歳ではないと思う方もいるかもしれません。しかし、私は中学生にとっての社会とは、学校であると考えます。学校では、後輩や同級生、先輩や先生など多くの人との出会いがあり、その出会いがいつか本物の社会に出たときに、生きる力へと変わっていきます。そんな小さな社会の中で、私たちはたくさんのことを経験し、たくさんのことを学んでいます。人と付き合うことの楽しさや難しさ、新しく出会った人と分かり合えたときの喜び、すれ違ってしまったときの悲しみなど、どれも学校という社会の中で人との関わりを経験していなければ、学べないことだったと思います。そして、そんな経験をしているからこそ、毎日友達と笑い合うことができているのだと思います。
 繰り返しになりますが、私のなりたい大人は、周りの人と笑い合える大人です。優しさで人を笑顔にするということは、簡単ではないと思います。しかし、そんな大人になれたとき、私は自分の望む生き方をできるのだと考えます。なりたい大人になるために、私は中学校で、高校で、そしてその先でも、人に優しく接し、周りの人と笑い合えるような心を育てていきたいです。
 また、それと同時に、そのような心を育むことができる学校、社会であってほしいと思っています。個人のプライバシーなどが尊重される今の時代だからこそ、学校とは、人と人とのつながりを重んじる、全力で周りの人と向き合っていける、そんな場所であったほしいです。そして、そのような学校を生徒自ら築いていくために、私自身、1人の生徒として、たくさんの人と関わり、一つ一つの出会いを大切にしていきたいです。
 最後になりますが、人に優しくすることで笑顔にできる大人になりたいと思うと同時に、誰かの優しさを当たり前だと思わず、感謝の気持ちを持ち続けることができる大人になりたいです。

大森第十中学校 原 理紗さん

石川台中学校 小野 風音さん 「地域が活性化し、地域のつながりを強くするために何ができるか」

 近年、地域の力は弱くなっています。回覧板を回すことはほとんどなくなり、自治体で地域ごとに当番を決めて、清掃活動などを行うことも少なくなりました。以前、私の友人に聞いてみたところ、近所の人のことをよく知らないという人や、自分が自治会に入っているか分からないという人がとても多くいました。しかし、災害や緊急時に大切となってくるのは、地域の力です。緊急時には、地域で一体となって救助や避難を行う必要があります。
 私が幼い頃、同じマンションの高齢者が倒れてしまったことがありました。そのときは、マンションの住民全員で心配し、救急車を呼びました。このような状況に陥ったとき、私たちは地域で協力しなければなりません。高齢者の事故や、幼い子どもを狙った犯罪も、ちょっとした地域の見守りや支え合いで防ぐことのできるものは多いと思います。
 では、その地域の力を強める第一歩として、これからの社会を担っていく私たちには、どんな社会貢献ができるのでしょうか。
 社会貢献は一言で言うと、人や社会のためにできる行動です。誰かのためにできる行動には、人の命や安全を守ること、生活や教育を支えること、国際社会や地域社会に貢献することなどが挙げられます。もちろん、人の命を守る行為など、特別な知識や技能のない一般人には難しいこともたくさんあります。しかし、学生にもできることがあるのも事実です。この社会貢献活動の具体例を紹介したいと思います。
 まず、最も身近な社会貢献活動として、募金や寄付、収集活動への協力が挙げられます。自分では収入の得ることのできない中学生には実行しにくいことのように思えるかもしれません。しかし、これらの活動はお金に限ったことではありません。
 例えば、ベルマークなどの回収活動です。ノートの後ろやインスタントスープのパッケージなどにもついているベルマークですが、実は集められたベルマークはお金に換えられ、回収した団体の資金となるのです。これは、地域施設の活性化を図ることができます。
 次に、ボランティア活動への参加です。学生の参加率は減少している地域が多く、私の友人にも参加している人は少ないです。しかし、ボランティア活動は種類がとても多く、自分に合った活動を探すことができます。
 また、先ほど紹介した募金活動なども、ボランティア活動として行っている団体があります。教育面では、貧困による子どもの教育機会の不足を解消するために、学習支援団体の講師のボランティアに参加することもできます。また、地域イベントへの参加も地域の力を強めるためにできることです。
 地域イベントは、地域の伝統文化の継承や活性化、まちづくりの一環として行われていることが多く、学生が参加することで幅広い年齢層が集まり、より地域を盛り上げていくことにつながると思います。
 このように、学生ができる社会貢献は様々ありますが、そのことを知り学生がより積極的に活動に参加するようになるためには、学校の力がとても重要です。
 学校は参加の呼びかけはもちろん、学校側から地域のボランティア参加者を募ったり、地域社会の現状をより具体的に学生に伝えたりしていくべきだと思います。
 地域社会の未来を担っていく私たちが、地域に関心を寄せるために何ができるかということを、学校はより重要視していく必要があると強く感じています。

石川台中学校 小野 風音さん

志茂田中学校 田中 咲妃さん 「学校でどのような力を身に付けたいか」

 グローバル社会と呼ばれる今を生きる私たちは、英語の活用能力、自分の意見を持ち発信する力、この二つを身につける必要があると思います。
 私の母が勤める会社は、パリに本社を構える海外企業で、いろいろな国の方がいます。以前、私は社内パーティーに参加させていただきました。そこでは、日本語ではなく、英語をはじめフランス語など、英語以外の多くの言語が使われていました。
 私たちは、世界共通語と言われる英語を毎日学び、単語もたくさん覚え文を作る力を養っています。しかし、実際に英語を使う場面では、言葉が出てきません。そのときの私がまさにそうでした。そして、この状況を学校で体験できないか、言語を学び、そして活用するインプットもアウトプットもできる文章力だけでなく、会話における瞬発力の向上をしたいと思いました。
 私が考えたのは、多数のALTの先生の配置、一人や二人というごく少人数での気軽な雑談的英会話、そして、目標、ゴールの設定です。目標を設定し、たくさんのコミュニケーションをとることで、英語の活用力は次第に定着します。これが一つ目です。
 二つ目に、自分の意見を持ち発信する力についてお話します。
 私は自分の意見を持てず、周囲の意見に流されることが多い小学生でした。意見はあっても、伝えることが苦手で提案できませんでした。改善できるはずのことを改善できないもどかしさも感じていました。今は生徒会の役員を務め、自分の意見を持ち、発信する力の大切さを実感しています。同時に、自分の意見を持つからこそ、相手の意見を尊重できる場面も増えてきました。
 私は、学校における集団生活の中で、自分の考えを発信する場を定期的に設け、自分の意見を持つこと、発信することに対する苦手意識をなくすことがまず必要だと考えます。そのためには、一人一人が考えや意見を持ち発表する場が必要です。そうすることで、自分の意見を広げ、考える力が身につきます。発信する場を増やすために、文房具のようにICTを活用する機会も増えてくるのではないでしょうか。
 さて、インターネットが広く普及し、グローバル化が急激に加速している私たちの世代では、世界とのつながりがより強く深くなっています。このとき、英語の活用能力、自分の意見を持ち発信する力が身についていれば、世界で活躍し羽ばたく人が増えてくるのではないでしょうか。この可能性は、私たちより後の世代にもより大きく関係してくると思います。私たちが生きる未来で、この二つの力が役に立つといいなと思います。

志茂田中学校 田中 咲妃さん

大森第三中学校 古屋 真奈さん 「どんな学校になって欲しいか、学校に望むものはなにか」

 私は、様々なことが変化する時代なので、それらに対応できる柔軟な学校になってほしいです。昔では当たり前だった校則が、今ではブラック校則と言われるように、次々と時代が変化しています。
 生徒の意見を取り入れながら、校則について生徒主体で話し合い、校則の在り方について考えることも大切になってくると思います。校則が見直され、自由が増えたと考える人がいると思います。しかし、私は間違っていると思います。
 自由になっていくのではなく、あくまでも学校生活がより楽しく、過ごしやすくなるために校則があるのではないかと考えています。生徒の視点でしか分からないことがあると思います。生徒が中心になり、学校側がサポートすることが、今、柔軟に対応できている学校ということなのかなと思いました。
 ここ数年間、コロナウイルスなどの感染病により学校生活を見直さなければいけなくなってしまいました。感染病はすぐに対応しないと広まってしまい危険なので、素早く柔軟に対応することが一番だと思います。
 コロナウイルスがはやり出した時期は、小学6年生でした。分散登校など感染対策をしながら学習できるようにしていて、これが柔軟な対応なのかなと思いました。ふだんとは違う学校生活だったけれど、そのおかげで楽しむことができました。
 このことから、私は学校の対応で、生徒一人一人の学校生活が変わるなと思い、時代の変化だけじゃなく、起きている物事にも柔軟に対応してくれる学校が増えたらいいなと思いました。
 また、生徒一人一人が自分の得意なことを生かして活躍できる場がたくさんある学校が増えるといいなと思います。なぜなら、生徒一人一人に得意不得意があるが、多くの学校は不得意なことを得意にしようと、得意なことを伸ばすことがあまりできていないと感じたからです。
 私は人前で話すことが得意なほうで、生徒会でいろいろな場面で話すことがあり、最初は緊張して慌てていました。しかし、先生にもっとこうしたほうがいいよなどとアドバイスをもらい、緊張せずミスをしてしまっても、慌てずに対処できるようになりました。
 自分の得意なことを伸ばせると、より大きな自信になっていくので、大切だなと思い、より多く、こういう出来事が増えるように、学校側も一緒に考えていってほしいです。

大森第三中学校 古屋 真奈さん

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