加工技術
ページ番号:194926436
更新日:2022年4月1日
工作機械を用いて金属などの材料を高精度に切ったり、削ったり、穴をあけたり、磨いたりすることを機械加工と呼んでいます。みなさんの身近にある‘もの’の多くは、いろいろな機械によって作りだされています。たとえば、自動車やテレビ、ビデオなどの部品一つとってみても機械加工が必要です。また、ボールペンや歯ブラシの柄などプラスチック製品を作るには金型(同一の品物を大量に得るための金属製の型)が必要となりますが、この金型を作るのにも機械加工が必要です。機械加工はものづくりの基本といっていいでしょう。それでは、機械加工にはどのような種類があるのか見ていきましょう。
切削加工
大きく分けて丸物の加工と角物の加工に分類されます。
【旋削加工】
旋盤(回転している金属に刃を当てて円筒状に切削する機械)により丸物工作物を加工することです。工作物を回転させて、これにバイト(刃)を当てて左右・前後に動かして円周面を円筒状に切削します。その他にもバイトの送り方向や速度を変えることにより円錐状削りや端面削り、切断などの加工もできます。
【中ぐり・フライス削り・穴あけ・ねじ立て】
角物工作物は平面のほかに穴や溝もあります。これらを加工するには次のような方法があります。
1 中ぐり
すでにあけられた穴を高精度に拡大するため、中ぐり盤を用い穴内面に中ぐりバイトを回転させながら送り込んで内面を加工します。
2 フライス削り
おもにフライス盤を用いてフライスという刃を回転させて前後・左右・上下への送り運動を与えて角物工作物の平面・溝や複雑な曲面を加工します
3 穴あけ
ボール盤に取り付けたドリルを回転させながら、垂直方向に送り込んで金属などに穴をあけます。
4 ねじ立て
ボール盤、ねじ立て盤に取り付けたタップ(ねじ立て工具)を回転させながら穴内面に送り込み雌ねじを加工します。
研削加工
旋削やフライス削りなどで切削加工した後に工作物の表面を滑らかにする加工方法です。円板状に成形された砥石で金属の表面を1000分の1単位で削り取る、高精度な加工ができます。
仕上げ加工
研削加工よりもさらに表面を滑らかにする加工方法です。ホーニングやラッピングといった種類があります。
1 ホーニング
研磨の一種で、砥石より軟らかいホーンという工具を使い穴内面を精密に仕上げていく作業です。
2 ラッピング
研磨の一種で、微細な砥石粉末により平面を極めて精密に仕上げる作業です。
特殊加工
刃物を使い金属などの材料を加工するのでなく、電気や光のエネルギーを利用した加工方法です。おもなものとして、次の種類があります。
1 放電加工
電気エネルギーによって金属を切削する加工方法です。工具側にプラス(+)、工作物側にマイナス(-)の電極を接続し、加工液の中で両者を接近させて放電させることにより、そのエネルギーで金属を徐々に切削していきます。
2 ワイヤーカット放電加工
ワイヤーに電気を流し、一方向に巻き取りながら工作物とワイヤーの間に電気を起こして加工する方法です。工具電極に銅線などのワイヤーを使用して工作物の穴に通し、放電させながら前後、左右に移動させて、さまざまな型を抜くことができます。
3 レーザー加工
光エネルギーを使った加工方法です。レーザー光を収束したレーザー光線を工作物にあてて、穴あけや切断などを行います。
プレス加工とはプレス機械にプレス型(プレス加工を目的にして作られた型)を取り付けて運動を加えることにより、型内部に置かれた金属などを型どおりの形状に打ち抜いたり、曲げたりする加工方法です。これは、同じものを数多く作る場合に適した加工方法です。それでは、プレス加工の種類について、もう少し詳しく見ていきましょう。
打ち抜き加工
薄い金属の板に型を使い所定の形状を打ち抜く方法です。おもなものに外形抜き、穴抜き、切り欠きと呼ばれるものがあります。これらはプレス加工の基本的な加工方法といっていいでしょう。
曲げ加工
金属の板を折ったり、曲げたりして立体的な形状に加工する方法です。金属板から立体的な形状の物を作る場合には、手軽で簡単な方法であるため、よく使われる方法です。
スピニング加工
材料に回転運動を与えてヘラやローラーで材料を形作る加工方法です。円筒形の型を作り、回転する軸に取り付けます。そして、材料を型に押さえ付け、ずれないようにした後、材料に回転を与えて、ヘラまたはローラーで材料をしぼって型になじむように成形していきます。この加工方法はヘラを用いることから「ヘラ絞り」と呼ばれることもあります。お寺の擬宝珠やパラボラアンテナ、ロケットの部品などは、この方法でつくられています。
エンボス加工
材料の伸びを利用して板厚変化をあまり生じさせない程度の模様や文字などの浅い形状の凹凸をつける加工方法です。自動車のナンバープレートはこの方法で作られています。
成形加工とはプラスチックなどの材料を溶かして詰めたり、押出したり、膨らませたりしてものを作り出す加工方法です。ここでは、いくつかの成形方法をご紹介します。
射出成形
注射器のような形をした射出成形機を用いて、その中に加熱・溶解されたプラスチックを入れて油圧により、あらかじめ形が彫りこまれた金型へ、細い針のようなゲートと呼ばれる穴を通してプラスチックを流し込み、形作られます。この方法でコップやバケツなどが成形されています。
押出し成形
加熱されたプラスチックを出口部分に金型を取り付けた押出し成形機からスクリュー回転により押出します。材料は連続的に金型を通って外へ押出され成形されます。この方法は長くて切断面が同じ形状をもったもの、つまり電線やホースなどを作るのに適しています。
真空成形
プラスチックのシートを加熱して軟らかくした後、型にセットして真空ポンプで引きます。すると、シートは薄くのばされ型に密着して形が出来上がります。コンビニやスーパーで見かけるサラダや漬物が入った透明な容器は、この方法によりつくられています。
鍛造とは高温にした金属の塊をハンマーでたたくことによって、金属を強くしたり、形を整えたりする加工方法のことです。自動車の歯車や車軸はこの方法でつくられています。
鋳造とは鉄や銅などの金属を炉で溶かして、鋳型(いがた)に流し込み、部品などの元になる形に冷やして固める方法です。自動車のエンジンブロックや工作機械ベッド(工作機械の土台)などはこの方法でつくられています。
以上、おもな加工技術について紹介しましたが、いかがでしたか。このような、さまざまな加工技術を使い分け、ひとつのものは作りあげられていきます。
お問い合わせ
産業振興担当(工業)
大田区南蒲田一丁目20番20号
電話:03-5744-1376
FAX:03-6424-8233